特集インタビュー

がんに関する3つのこと

がんに関する3つのこと

一宮西病院 呼吸器外科 部長 波戸岡 俊三(はとおか しゅんぞう)

愛知県がんセンターで20年勤務したのち、一宮西病院に入職。外科一筋「がんのエキスパート」である。

自覚症状について
がんには自覚症状はあるのですか?

一般的に、早期がんの場合自覚症状はありません。早期肺がんで自覚症状がみられるのは、気管・気管支といった太い気道に腫瘍があるときです。腫瘍がちぎれて出血することで早期から血痰(痰に血が混じること)という症状がみられます。肺がんが進行してくると、腫瘍が肋骨などを巻き込んで肋間神経痛や胸の痛みとして症状がでてきます。食道がんでは、腫瘍が大きくなってくると食事の通りが悪くなることで“つかえる”といった症状が出てきます。逆に胃がんでは、胃自体が伸びる臓器ですので少々腫瘍が大きくなっても自覚症状が出にくいです。自覚症状からがんを早期に見つけることは難しいですね。

自覚症状がないなら、検診で見つけるしかないということでしょうか?

そうですね。がんを確実に治すには、検診による早期発見しかありません。最近では、分子標的薬といった特定の遺伝子を標的にした薬剤が多数出てきています。しかし、一時的には有効ですが、いずれ耐性といって薬が効かなくなってきます。がんを治す確実な方法は、検診で早期にがんを発見し、外科手術できちんと取り除くことだと思います。

日本人に多いがん 年間TOP5
検査について
がんを見つける検査って簡単にできるのですか?
痛くはないのですか?

検査の様子 日本人に多いがんを考えると、胃、大腸、肺はがん検診には必須です。女性はこれに乳腺、子宮を加えればいいですね。胃では、胃カメラをお勧めします。検診ではよくバリウムを飲む胃透視がされていますが、早期の小さな病変は見つけにくく、見つかった時はすでに進行がんといったことがあります。胃カメラでは胃を観察するときに食道も通りますので、早期の食道がんが見つかることもあります。当院では、経鼻内視鏡(鼻からいれる胃カメラ)を採用しているので本当に楽です。
大腸は便潜血(便に血が混じっているかどうか)でスクリーニングします。便に潜血があれば、やはりカメラをするべきです。以前と比べるとカメラの苦痛ははるかに減っています。
肺は胸部X線写真(レントゲン)とCT検査です。レントゲンはある程度の大きな病変は見つかりますが、心臓の陰影と重なる小さな病変を見つけることはできません。また“すりガラス陰影”といった早期肺がんは影が薄いため、CT検査でないと見つけることは困難です。CT検査は筒の中で寝ているだけですので苦痛は一切ありません。ただし放射線被曝がレントゲンよりも多いことが欠点です。喫煙歴のある60歳以上の方はCT検査を一度は受けてもいいですね。
いずれにしても、がんを見つける検査の苦痛は、昔と比べてはるかに減っています。

予防について
がんは予防できるのでしょうか?

手術前 がんは生活習慣病ですね。何を食べて、どのくらい運動し、どれくらい寝てといった日々の生活が重要です。こういった日々の積み重ねが皆さんの運命を左右します。
第一に食生活が重要です。よく云われていますが緑黄色野菜を中心とすることです。大腸がんは肉食で発がんリスクが増えます。焼肉などの肉食中心の生活はがんに向かってまっしぐら!...のような状態です。肉は動物性タンパク質を摂取できますが、肉を食べなくても大豆などで植物性タンパク質を摂ることもできます。肉を食べないようにとは言いませんが、野菜中心の食生活を心がけてはいかがでしょう。もしがんになったら、その時からでも“新鮮な野菜をしっかり食べる”食生活にかえてみてください。がんの進行を遅らせることができるかもしれません。
第二に運動です。運動はがんの予防効果が確かめられています。アスレチックに行くこともいいですが、どうしてもさぼりがちになってしまいます。犬の散歩のように毎日決まった時間に決まった量の運動をするのが理想的です。また、運動は心臓病、脳卒中の予防にもなります。是非、日々の生活習慣を見なおしてみてください。

最後にメッセージ

がんは別に怖い病気ではありません。日本人の3人に1人はがんで亡くなっています。なってしまうと怖いかもしれないですが、早期に見つかれば決して怖い病気ではないし、がん細胞は元々自分の体の細胞の一部なので、それとうまく共存共栄していけばいいというか、必要以上にがんを怖がる必要はないと思います。検診をしっかり受けて、大腸がん、胃がん、肺がん、子宮がん、乳がんなどのかかる可能性が高いがんをカバーしましょう。

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