特集インタビュー

脳卒中に関する5つのこと

脳卒中に関する5つのこと

一宮西病院 脳神経外科 部長 宮嵜 章宏(みやさき あきひろ)

日本脳神経外科学会専門医・日本脳卒中学会専門医・日本脳神経血管内治療学会専門医など数々の資格を有する「脳卒中のスペシャリスト」です。

脳卒中とは
脳卒中ってどんな病気なのですか?

脳の血管の病気です。脳の血管が詰まって脳細胞が死んでしまう病気(脳梗塞)と、脳の血管そのものが破裂して出血を起こす病気(脳出血・くも膜下出血)があり、これらをまとめて脳卒中といいます。脳梗塞は通年で発症しますが、脳出血は血圧変動が関係するため、血圧が高くなる冬に発症する方が多いです。血圧が最大の危険因子ですので、血圧をコントロールすることが一番の予防となります。

自覚症状について
自覚症状はあるのですか?

脳梗塞は発症後3時間以内に病院にかかると良いといわれますが、実際3時間以内に来られるのは20%くらいで、ほとんどの方が6時間以上経ってから来られます。それは脳梗塞の場合、心筋梗塞などと違い痛みが無いからです。脳梗塞の症状、例えば手足の麻痺とか言語障害などが出たとしても、“少し様子を見よう”、“あまり動かしたらいけない”という認識の方がいて、その結果症状が悪化してしまいます。アメリカでは「FAST」といって、“早く病院へ連れて行こう”という啓蒙活動があります。「FAST」は症状の頭文字をあらわし、「F」は「Face」で顔の麻痺、「A」は「Arm」で腕の麻痺(片手がだらんと落ちる)、「S」は「Speech」で言葉の障害、「T」は「Time」で発症時刻。“1分でも早く、顔と腕と言葉にこれらの症状が出たら、すぐに病院に行きましょう”ということです。これ以外にも様々な症状があり、例えば突然視野が半分になる、今までできた簡単な計算ができなくなる・・・などは、血管が詰まった瞬間に起こる症状ですし、ハンマーで叩かれたような激しい頭痛や意識障害などは、脳の血管が切れた時に起こる症状です。脳梗塞と脳出血にはこのような症状の違いがあります。

FASTについて
予防について
予防の観点からいくと、先ほどのお話にあった血圧の管理ということですね。

一番大事なのは血圧の管理ですが、それ以外にも動脈硬化を引き起こす生活習慣病の管理、例えば運動と食事も非常に大事です。散歩をするだけでも脳卒中になるリスクが下がるといわれていますし、食事は減塩食が良いです。脳卒中に限らずあらゆる病気の予防に言えることですが、生活習慣の改善が非常に大事なのです。

診断について
出血なのか梗塞なのかというのは、CTで分かるのですか?

手術中の様子 そうですね。出血があればCT(※1)で白く映りますし、そうでなければ脳梗塞の可能性が考えられます。脳梗塞はCTでは黒く映るのですが、それは時間が経過して完全に詰まった後の話、実は発症間もない脳梗塞は画像では全く正常なんです。ですからその場合はすぐにMRI(※2)です。MRIだと発症後1時間の変化から画像に反映されます。整理をしますと、CTで出血は分かりますが脳梗塞はすぐには分からない、だからすぐにMRIを撮らなくてはいけない・・・ということですね。実は、常時MRIを撮れる体制が整っている病院はそれほど多くありません。いつ起こるかわからない病気だからこそ、当院では24時間365日、いつでも対応できる体制をとっています。

治療・手術について
もし脳卒中になってしまったら手術になるのですか?

脳卒中になった患者さん全てが手術をするわけではありません。脳梗塞ですと血管が詰まってから3分で脳細胞が死に始めるので早く治療を始める必要があるのですが、その場合は血栓を溶かすお薬を4時間半以内に打つ、8時間以内に血管カテーテル治療(※3)をする、という対応となります。いきなり頭を開ける手術、ということにはなりません。もちろんこれは病気によっても変わります。

一宮西病院の脳卒中の外科的治療の特長は何でしょう?

まず挙げられるのは、血管内治療ができるという点です。この治療はどこの病院でもできるものではありません。脳血管内治療専門施設で、専門医でなくては使えないステント(※4)などもありますが、当院は対応しています。脳出血に関しては頭を大きく傷つけない内視鏡手術で血腫をとることも可能です。
短時間でできて傷も少ない血管内治療や内視鏡手術だけではなく、きちんと開頭して行う手術もあります。従来の方法もあるし、新しい方法も常に取り入れている、つまり患者さんの状況に応じて血管内治療、開頭手術どちらも選択できる、あらゆる状況に対応できるということです。もうひとつの大きな特長は、充実したリハビリスタッフの存在です。術後の経過にもよりますが、手術翌日からリハビリを始めていただくことも可能です。在宅復帰率も高く、回復期リハビリも同じグループ内の施設で対応しており、脳卒中に対応できる十分な体制が整っています。

※1 X線を使って身体の断面を撮影する装置
※2 磁気と電波を使って身体の断面を撮影する装置
※3 手首や足の付け根からカテーテルと呼ばれる細い管を血管内に挿入し、狭くなった血管を広げる治療
※4 血管を拡張することができる網目状の金属製の筒

最後にメッセージ

日頃から生活習慣を管理することで脳卒中を予防しましょう。万が一に備えて脳卒中の症状を良く知り、疑いがある場合はすぐに病院にかかりましょう。「FAST」です!

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