特集インタビュー

狭心症・心筋梗塞にまつわる5つの基礎知識

狭心症・心筋梗塞にまつわる5つの基礎知識

一宮西病院 循環器内科 部長 寺本 智彦(てらもと ともひこ)

【 経歴 】
東京医科大学病院 豊橋ハートセンター
スタンフォード大学 医学部 循環器内科

【 資格 】
日本内科学会認定内科医・総合内科専門医
日本循環器学会循環器専門医
日本心血管インターベンション治療学会専門医

原因について
「狭心症」と「心筋梗塞」。それぞれどんな病気なのか教えて下さい。

狭心症は、心臓へ栄養を送る「冠動脈」という血管が狭くなって起こるものです。動脈硬化が徐々に進んでくると「プラーク(血管の瘤)」ができて血管が狭くなる、これが狭心症です。そして、狭心症を引き起こしているプラークが弾けて、血管の中で血流が滞り、血小板などが集まって血栓(血の塊)ができ、血管が詰まってしまう、これが心筋梗塞です。

「狭心症」が進んだ状態が「心筋梗塞」ということですね。早めの処置が必要ですよね?

そうですね。“心筋梗塞になるのは血管の狭窄度が90%ぐらいの高い人”と思うかもしれませんが、実は心筋梗塞を起こしやすい(プラークが一気に弾けやすい)のは、狭窄度50%程度の病変という報告もあります。これは研究でもわかっていることで、大事なのはプラークの状態を正確に知ることです。「まだ半分だから大丈夫」ということはありません。

検査について
どうすれば血管の状態が正確にわかるのでしょうか?検査について教えて下さい。

狭心症は実は心電図やレントゲンではわからないのです。重症の狭心症でない場合、これらの検査では「正常」と判定されてしまいます。最も良い検査は「冠動脈造影CT」です。これは造影剤を用い実際の冠動脈の状態を見ることができる検査です。これで血管の狭窄度はかなり診断できるようになりました。

症状について
「狭心症」と「心筋梗塞」の原因はわかりました。どのような症状があるのか教えて下さい。

手術の様子 狭心症の状態で、例えば軽い運動をすると心臓の仕事量が増える結果、狭くなった血管の先に血液が行き届かなくなる為、胸が苦しくなるのです。ただ、休めばまた血圧も脈拍も下がり心臓の仕事量も減りますから、症状は良くなります。一方、心筋梗塞は“心臓の血管が完全に詰まった状態”なので、運動の有無にかかわらず、激しい胸の痛みがあります。

治療について
「狭心症」は自然治療するものですか?治療するとなるとどんな方法になりますか?

寺本医師 自然治癒は難しいと思います。例えば一度詰まった排水管に綺麗な水を流しても、詰まりがなくなることはないですよね?血管も同じで、詰まった(狭くなった)冠動脈をバルーンやステントなどで広げ、血流を戻す“カテーテル治療”を施さなければいけません。カテーテル治療は、好条件であれば30分以内で終わることもありますが、長期間にわたって閉塞していた血管の治療だと5~6時間かかることもあります。心臓の血管に直接アプローチする治療なので、決して“たやすい治療”ではありませんが、カテーテル治療は非常に低侵襲な治療です。カテーテル自体が細くなり、元来脚の付け根からしかできなかった治療が腕の血管、手首の血管からできるようになりました。治療結果にもよりますが、治療にかかる時間の短さや、開胸しないという点で、カテーテル治療のメリットは大きいと思います。
※狭心症、心筋梗塞の程度により、カテーテル治療の適応にならない場合もあります。

予防について
「狭心症」にならないための予防法はありますか?遺伝も関係してきますか?

狭心症の予防はすなわち「動脈硬化の予防」となります。動脈硬化の主な危険因子は「糖尿病」「高血圧」「高脂血症」「喫煙習慣」の4つです。また、その他に「家族歴」や「精神的なストレス」なども影響するといわれています。先に挙げた4つの危険因子にだけ気を付ければ大丈夫とは言えませんが、少なくともまずこの4つを意識することが予防につながることは間違いないです。

最後にメッセージ

生活習慣病や家族歴がある方は、40歳を過ぎたら冠動脈造影CTを受けてみても良いかと思います。心電図では、狭心症はほとんどわからないものです。お胸の病状で気になることがある方は、一度専門医に相談してみてはいかがでしょうか。

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