特集インタビュー

体に優しい心臓手術の3つの疑問

体に優しい心臓手術の3つの疑問

MICS心臓センター長(心臓主任) 山口 聖次郎(やまぐち しょうじろう)

【 経歴 】
金沢大学 心肺・総合外科
ドイツ クリニクムオルデンブルグ 留学 (心臓科専門医)
トルコ ギュベン病院

【 資格 】
日本心臓血管外科 専門医・修練指導医
日本外科学会 専門医・指導医
日本循環器学会 専門医
日本胸部外科学会 認定医

MICSとは?
MICS/低侵襲心臓手術とは、どのような手術なのですか?

切らなくてもいいところは切らずに行う手術、すなわち従来の手術に比べ体に優しい手術です。大きな特長は、肉は切るけど骨は切らないという点です。従来の標準的な心臓手術は体の真ん中(胸)を25センチほど切り、体の屋台骨である胸骨を切り分けて行っていましたが、MICSは胸骨を切らず肋骨の間から手術をしますので、比較的出血や痛みが少なく、傷も小さくて済みます。言い換えれば、“体にかかる負担を少なくし、回復を早める心臓手術”ですね。

MICSの対象疾患は?
どのような心臓の病気がMICSの対象になるのですか?

山口医師 「狭心症」や「心筋梗塞」、症例として多いのは「僧帽弁膜症」です。ここ数年は「大動脈弁膜症」の手術も行われるようになってきました。あとは「心房中隔欠損症」「心臓腫瘍」も適応できるかと思います。幅広い心臓手術をカバーできます。

MICSによって、手術をあきらめていた人も助けられるようになった…という例もあるのですか?

そうですね。“骨(胸骨)を守る”ということでいえば、特に高齢の女性の方に多いのですが、骨粗しょう症を患っている方、つまり骨がもろく切ってしまうとなかなか治らないという方にはいいと思います。“傷が小さい”ということでいえば、若い方にも喜ばれるのではないでしょうか。しかしMICSは、簡単に言うと“従来と同じ心臓手術を小さな傷で行う”ということなので、向いているかどうかというよりも、“こういう手術方法もありますよ”というご説明を、患者さんがどう受け止められるかだと思います。

MICSのメリットは?
MICSは傷が小さくて済むということですが、術後の回復も早いということですよね?

手術の様子 そうですね。MICSは手術後に集中的にリハビリをさせるのではなく、すぐに「歩いていいですよ」といえる手術なんです。過去に執刀した患者さんでも、手術翌日から歩き、ご飯も普通に食べていた方もいらっしゃいました。ただ、同じ疾患でも小さな傷で済ませる手術ですので、それだけ難易度は高く、手術時間も長くなります。

他にはどんなメリットがありますか?

心臓手術の選択肢が増えるということも大きなメリットだと思います。同じ心臓の手術でも、当院では標準法もMICSも選べます。患者さん一人一人に適した手術のバリエーションがご提供できるわけです。医療技術の進歩にともない、手術方法、治療方法にもバリエーションが出てきましたが、それができる施設とそうでない施設、できる外科医とそうでない外科医がいます。決して最新の治療法を押しつけるわけではありませんが、より多くの治療法が選択できる施設を選んでいただいた方が、患者さんにとって満足度は高いと思います。

MICSのメリットは?
最後にメッセージ

MICSは手術としては通常法よりも熟練が必要です。多くの患者さんに受けていただくことはできますが、長年この分野に従事した経験から、心臓の状態(低心機能)、体格、体型、血管の太さなどを踏まえ、通常法の方が“より安全である”と判断することもあります。もちろん、そういう場合は胸骨を開く従来法での手術をご提案します。
一宮西病院心臓血管外科の特色は、“治療法のバラエティーが豊富である”という点です。患者さんの状態にあわせた、最善の治療法をご提案・ご提供いたします。

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