特集インタビュー

腹腔鏡手術の3つのこと

腹腔鏡手術の3つのこと

一宮西病院 消化器外科部長 腹腔鏡センター長 手術室部長 笹本 彰紀(ささもと あきとし)

【 主な資格 】
日本外科学会 認定医・専門医・指導医
日本消化器外科学会 専門医・指導医
日本消化器外科学会 消化器がん外科治療認定医
日本がん治療認定医機構 がん治療認定医
検診マンモグラフィ 読影認定医
緩和ケア指導者研修修了 東海外科学会評議員 医学博士

【 得意分野 】
消化器外科、肝胆膵外科、内視鏡外科、血管外科

平成27年4月に一宮西病院へ着任して以降、約200症例の腹腔鏡手術を実施。(平成28年11月現在)

腹腔鏡手術とは?
腹腔鏡手術とはどんな手術ですか?開腹手術との違いは何ですか?

腹腔鏡手術は皮膚に数カ所、5ミリ程度の穴を開け、そこから専用の筒状のカメラ(腹腔鏡)と手術用具をお腹の中に入れて行う手術です。初期段階のがんの切除や、胆石症・そけいヘルニア・虫垂炎などの良性疾患の手術の場合にご提案します。手術時間は開腹手術よりも少し長くなりますが、傷が小さいので術後の回復が早く、整容性(見た目)も良いというメリットがあります。開腹手術はみぞおちからおへその横にかけて、20~30センチの傷が縦に入ります。臓器の癒着が起こり腸閉塞になることなどもありますが、進行したがんの摘出が必要な場合などはこちらの手術を選択します。

つい先日も胃がんの手術をされたそうですが、その時も腹腔鏡手術だったのですか?

そうです。その患者さん(40代・男性)は初期の胃がんでした。すべての患者さんにおいて腹腔鏡でやるわけではありません。大前提として、早期がんでなければ腹腔鏡手術はご提案しません。今回は早期の「ステージ1A」でしたので、胃がん治療ガイドラインに沿って腹腔鏡手術をご提案しました。勿論、ご本人が開腹手術を希望されれば開腹手術にします。手術前には必ず腹腔鏡手術と開腹手術の話をし、最終的には患者さんご本人に決めていただきます。

腹腔鏡手術とは?
腹腔鏡手術のメリットは?

手術の様子 繰り返しになりますが、術後の回復が早い点と、傷が小さく整容性(見た目)も良い点です。お腹に開ける傷は本当に小さく、器具を挿入するための5ミリくらいの傷が4つと、切除した病変を取り出すおへその傷だけです。腹腔鏡で胃がんの手術をされた方は、皆さん1週間前後で退院されます。先ほどの患者さんも1週間で退院され、もう現場でお仕事をされています。今度ゴルフに行こうなんて話もしてるようですよ(笑)。それくらい社会復帰は早いと言えますね。

対象となる疾患は?
がんの場合は、条件が整えば腹腔鏡手術の対象となるのですね。
ほかにはどんな疾患が対象となりますか?

笹本医師 当院での実績を申しますと、胃がん、大腸(直腸)がんなど消化器系のがんは全般にやります。それ以外は胆石、胆のう炎とそけいヘルニア、腹壁はんこんヘルニア、肝がん(肝細胞がん)、潰瘍の穿孔(穴)などです。十二指腸潰瘍、胃潰瘍の穿孔の場合、おへそから挿入した腹腔鏡でどこが病変か(どこに穿孔があるか)は診断できますし、腹腔鏡でお腹のすみずみの膿の洗浄もできます。あとは虫垂炎(盲腸)ですね。虫垂炎の手術もおへその周りに5ミリほどの穴を3つ開けて行いますが、希望があれば「単孔」といって、おへそに開ける1つの穴だけで行う場合もあります。胆石の手術も単孔でできますよ。
虫垂炎などの良性疾患は、できれば腹腔鏡手術をおすすめしたいですね。小さな傷で治せるものは、小さな傷で治したほうが良いですよね。特に肥満の方は、従来の開腹手術では傷が大きくなる為、腹腔鏡手術法はよりメリットがあると思います。しかし悪性疾患(がん)で進行している場合は、がんの取り残しが無い様に開腹手術でがんを含め大きく取ることになります。

最後にメッセージ

腹腔鏡手術の適応と判断できる方(がんであればガイドラインと照らし合わせて問題ない方)は、腹腔鏡手術をひとつのオプションとして考えていただければと思います。勿論、ガイドラインを遵守した上でご提案させていただきます。すべての患者さんに腹腔鏡をすすめるわけではなく、個々の患者さんにとって何が一番良いかということを第一に考えます。しっかりとご説明させていただいた上で、最終的には患者さんご自身に決めていただくことになりますが、腹腔鏡手術は回復も早く整容性も良いですし、腸閉塞なども防げます。腹腔鏡手術のメリットが多いことは間違いありません。ご希望があればご相談ください。最良の選択肢を一緒に見つけましょう。

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