特集インタビュー

人工関節手術に関する4つの疑問

人工関節手術に関する4つの疑問

一宮西病院 整形外科 副部長 兼 人工関節センター 松原 隆将(まつばら たかまさ)

【 主な資格 】
日本整形外科学会 専門医

【 得意分野 】
整形一般、膝、足の外科、スポーツ(下肢)

手術の対象は?
人工関節センターでは、どのような症状の患者さまが多いですか?

膝の痛みが一番多いです。ご年配の方で一番多いのが変形性関節症です。これは加齢とともに慢性的に徐々に進行していく疾患なので放っておいても良くなることはほとんどありません。治療としてはまず、投薬、注射、リハビリ指導や生活指導などを行います。
当センターでは股関節の悪い方も多く来られます。膝関節と同じように、変形性関節症が原因であることが多く、鼠径部(太ももの付け根)やおしり、大腿部(太もも)や膝まで痛くなることもあります。最初は大腿部痛で受診された方も、レントゲンで調べたら実は股関節が悪かった…ということもよくあります。股関節は比較的「安定した関節」で、変性(老化現象)の起こりにくい関節です。股関節が悪い方(変形性股関節症)は「臼蓋形成不全」といって、股関節のかみ合わせが浅い方がほとんどです。

症状が重いと手術になるかと思いますが、手術はどの程度の症状の方が対象になるのですか?

基準にしているのは「通常の日常生活が困難な痛みがあるかどうか」です。もちろん最初は保存的療法で様子を見ますが、それでも痛みが改善しない方が手術適応となります。同じ程度の変形でも症状の感じ方は異なりますので、患者さんがその症状でどの程度お困りかという点を基準にして手術をお勧めするようにしています。

手術の種類・方法は?
人工関節手術の種類や、人工関節の仕組みについて教えてください。

医師 膝に関して最もスタンダードなのは「全人工膝関節置換術」です。人工膝関節は大腿骨部、𦙾骨部(すね)、軟骨の役割をするインサートの3つで構成されます。傷んだ軟骨部分の骨を切り取って、大腿骨、𦙾骨にそれぞれ人工関節をはめ込み、その間にインサートが入ります。最近では「単顆人工関節置換術」という手術も行っています。膝関節には内側部分と外側部分に関節があり、傷んでいる側だけ人工関節に代えるという手術です。適応を考えて、この手術をお勧めすることもあります。人工股関節は、骨盤側に入る「カップ」と、大腿骨側に入る「ステム」で構成されます。ステムの先にはボール状の部品がつき、そこがカップに収まり、人工股関節となります。
人工関節は、症状に応じた適切な手術であれば10~15年は問題なく機能すると思います。

手術の時期は?
手術を決断する最良のタイミングはありますか?

人工関節手術の一番の目的は「痛みを取る」こと、すなわち「痛い」と訴えられる患者さんのための手術と考えています。患者さんが我慢できる痛み、「つき合っていける」痛みの時点では、なるべく保存的治療を行っていただきます。膝関節、股関節ともに、耐え難い痛み、「これ以上つき合っていけない」ような痛みを自覚した時が、手術時期と考えます。術後はほとんどの場合、痛みが激減し、実際に手術を受けられた方も、多くの方が満足してくださっています。「もっと早く手術してもらえば良かった」という声がほとんどです。

手術の費用は?
人工関節手術の費用はどれくらいですか?

医師 入院期間は膝関節・股関節いずれも2~3週間くらいはかかります。人工関節そのものも非常に高価なため、入院費、材料(人工関節)費、手術費でおおよそ250万円くらいです。しかし、人工関節手術は「高額医療」に該当する手術ですので、所得にもよりますが10万円前後で収まるのではないでしょうか。詳しくは窓口にてお問い合わせください。

最後にメッセージ

人工関節手術は大きな手術なので不安になるかと思いますが、最近は手術方法も人工関節の素材も改良され、長く使用できるようになりました。痛みが劇的に改善され、手術した患者さんの満足度もとても高いです。まずはお気軽にご相談ください。色々なお話を聞かせていただいてから、手術も含めた治療方針を決めていければと思います。

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