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気胸センター


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メッセージ

●気胸とは?

肺は風船のように空気で膨らんでいる臓器です。その肺が何らかの原因で破れて、しぼんでしまう病気が「気胸」です。無症状から、呼吸困難が急激に進行し救急搬送が必要なものまで、病状はさまざまです。気胸は、それ自体で命を落とすことは稀な病気です。破れた肺が元に戻るまでの間、息切れや胸痛などの症状が続き、部活動・仕事・飛行機による移動などが制限されるため、生活の質(QOL)に大きな影響を及ぼします。治った後再発することもあるため、再発をなるべく減らす治療を考えることも重要です。

2020年5月から気胸センターを開設しました。呼吸器内科・呼吸器外科・救急科が連携して治療を行う体制を整えました。患者さま個々の病状、社会的背景(仕事・受験など)を考慮し、最適な治療を提案していきます。

気胸の種類と治療法

●気胸の種類

気胸は次に挙げるように大きく3種類に分けて考えることができます。
原発性(げんぱつせい)
自然気胸
肺気腫などの特別な病気がなく、嚢胞(のうほう)(プチプチのような空気の袋)が肺表面にできて破れて発生します。10~20歳代の男性に多く、肺尖部(はいせんぶ)(肺の最も上の部分)の表面に嚢胞ができることが多いです。10歳代では20歳代以降と比べて再発しやすいとされています。
続発性(ぞくはつせい)
自然気胸
肺気腫、間質性肺炎、胸腔内子宮内膜症(生理に伴う)など、何らかの病気に伴って発生します。
外傷性気胸 大きな胸部外傷(交通、転落事故など)で肺を損傷して発生します。

●気胸の治療

気胸の治療法には次のようなものがあります。病状に合わせて、これらを組み合わせて治療を行います。
保存的療法
  • 安静
  • 胸腔穿刺
  • 胸腔ドレナージ
気胸になったら第一に行う治療法です。軽症の場合は数日間の安静で気胸が改善することもあります。肺のしぼみ具合や病状経過により、胸腔穿刺(きょうくうせんし)(胸に細い針を刺して中に溜まった空気を抜きます)や胸腔ドレナージ(胸の中に鉛筆くらいの太さの管をいれて、肺から漏れてきた空気を持続的に抜きます)を行います。
手術 保存的療法で気胸が改善しない、気胸を繰り返す場合に行います。空気漏れの原因となった嚢胞の切除や、肺表面を破れにくくする補強をします。通常は胸腔鏡(きょうくうきょう)手術で行います。
胸膜癒着
(きょうまくゆちゃく)療法
胸の中にいれた管から自己血(患者さまご自身の血液)や薬剤を入れることで、空気漏れの部分を塞(ふさ)ぎます。
気管支塞栓
(そくせん)療法
気管支鏡(胃カメラを細くしたもので気管支の中を見ることができます)を用いて、空気漏れの原因となっている肺に空気が入らないように、シリコンの栓(EWS)で気管支を塞ぎます。

《ミニコラム》若い人の胸キュン。恋でなくて気胸かも?

●胸が痛いと感じたことがありますか?
胸の痛みを起こす病気には、○胸痛症候群、○狭心症、○心筋梗塞、○大動脈解離、○心膜炎、○逆流性食道炎、○肺炎、○膿胸、○肺塞栓症、○肋間神経痛、○帯状疱疹、○気胸、○肋骨骨折などがあります。10〜20歳代であれば、胸痛症候群(心因性や筋骨格由来の痛み、原因不明の痛み)であることが多いです。

●治療の必要な病気が隠れていることがあります
気胸、その中でも特に原発性自然気胸は、10〜20歳代で発症することが多いです。気胸は「イケメン病」といわれ相葉雅紀、佐藤 健のような長身でスラっと細身の人がなりやすいです。梱包用に使う「プチプチ」が肺の表面にできた感じです。肺尖部(肺の上部)にできることが多いです。その「プチプチ」に圧力がかかり、破れて空気が漏れて肺がしぼんで気胸が起こります。身長の伸びる速さと肺の成長が釣り合わず、肺が正常よりも引き延ばされた状態になることで生じるとされています。現時点でははっきりとしたメカニズムはわかっていません。運動や仕事などで力を入れたときに肺が破れることもあります。ほとんどの場合、突然、胸の痛みや息苦しさを感じます。症状がなく偶然胸部X線検査をして気胸が見つかることもあります。

●気胸を見逃さないために
胸部X線検査を受けることをお勧めします。もし気胸と診断された場合は、軽度なら安静のみで経過をみることも可能です。中等度以上の場合は何らかの処置が必要となることが多いです。重症度によらず、気胸は再発することが多い病気です。気胸にもいろいろな種類があり、病状を考えながら治療方針を決めていく必要があります。気胸と診断されたら、是非専門施設で治療を受けることをお勧めします

●気胸の外科的治療
原発性自然気胸は、手術で再発を減らすことができます。手術は肺の破れた部分を切除して補強します。受験や就活を間近に控えて、気胸が再発する危険を当面抑えておきたいときは手術を積極的に検討してください。当院気胸センター/呼吸器外科では、1か所の傷から手術を行う単孔式胸腔鏡手術を行っており、治療効果だけでなく整容性にも配慮した治療をご提供できます

当院での原発性自然気胸と続発性自然気胸(肺気腫)に対する手術患者さまの年齢分布

原発性自然気胸の患者さんは10〜20歳代に多く、続発性自然気胸(肺気腫)の患者さんは50〜80歳代に多くみられます。この2つの気胸で、気胸手術全体の95%程度を占めています。

原発性自然気胸の手術治療成績

2015年1月〜2020年4月に原発性自然気胸に対して手術を受けられた患者さまの再発率をグラフにしています。2018年3月から気胸に対して単孔式胸腔鏡手術を導入していますが、現在のところ従来から行っている胸腔鏡手術(2〜3か所の傷で行う胸腔鏡手術)と比較して遜色ない成績となっています。保存的療法(安静・胸腔穿刺・胸腔ドレナージ)のみで治療した場合の再発率は30-50%程度と言われていますので、再発を数%〜10%程度に減らすことができるのは手術の大きなメリットと言えます。


手術を行う場合

当院では以下のような場合に手術を行っています。最終的には患者さま個々の病状、社会的背景を考慮して決定しています。

手術が必要な状態(絶対的適応)

  • 多量の出血を伴う場合
    (血気胸(けっききょう))
  • 両側気胸
  • 空気漏れが多く、
    他の治療効果が期待しにくい場合

手術が望ましい場合(相対的適応)

  • 再発を繰り返す場合

  • 原発性自然気胸で、学業や仕事などのために
    当面の再発を予防したい場合


気胸の低侵襲手術について

気胸手術は2~3か所の創を使った胸腔鏡で行われることが一般的です。当院でも以前は同様の手術を行ってきましたが、さらなる低侵襲化(身体への影響を小さくする)をすすめました。

2018年3月から、原発性自然気胸の患者さまに1.5~2 cmの創1か所で手術を行う単孔式(たんこうしき)胸腔鏡手術を導入しました。従来の胸腔鏡手術と比べて、整容的に優れ、痛みも少ない長所があります。

初回治療で胸の中に管がある場合は、その管の入っている創を可能な限り使用して手術をします。3ポート(3か所の創)手術と比べて、当院の単孔式胸腔鏡手術では手術時間延長や術後合併症増加はありません。また、手術後の再発率も3ポート手術と同程度に抑えられています。

●呼吸器外科における気胸の手術実績(2018-2020年)

2018年 2019年 2020年
気胸 32 24 29
┗ 内 胸腔鏡下手術 32 24 29
内 単孔式胸腔鏡手術 6 18 20