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子どもの咳の原因について


ホーム > 内科系 > 小児科 > 子どもの咳の原因について

小児科を受診される患者さんの症状で、最も多いのは「咳」だと言われています。子どもの咳というとどのような病気を思い浮かべますか?風邪、気管支炎、肺炎、気管支喘息…様々な印象があるかと思います。でも実は、子どもの咳の原因で一番多いのは、これらのどの病気でもないのです。小児呼吸器科医の立場から、小児科部長・杉山医師が「子どもの咳」について解説します。

子どもの咳の診断に必要な情報は?

一口に咳といっても全ての咳が同じではありません。幾つかのパターンがあります。例えば「ゲホゲホ」「ゴホゴホ」「ケンケン」「コンコン」など色々な表現の咳の仕方があります。もう少し専門的にいうと「湿った咳」「乾いた咳」「ぜいぜいする咳」などでしょうか。このように、どんなタイプの咳かを確認することは重要です。と同時に、咳が出る“タイミング”も重要です。「1日中」「眠っている時に多い」「眠っている時は出ない」「寝付いた時や明け方に多い」「運動すると出る」…など、咳が出る状況は咳の原因を探るのにとても重要な手がかりになります。子どもの咳の診断には、このような詳しい問診がとても重要なのです。

咳の原因の手がかりは「鼻・のど・口」に!

咳の診断に最も重要な診察や検査といえば、何を思い浮かべるでしょうか。胸のレントゲン写真、胸と背中の聴診…確かにいずれも「気管支炎」や「肺炎」「気管支喘息」などの診断には重要です。しかし意外かもしれませんが、咳で小児科を受診するお子さんの中で、気管支や肺に原因がある患者さんは実は多くはありません。「風邪を引きやすい」「いつも風邪と診断される」「またすぐに咳が出る」「咳がなかなか治らない」…こういった親御さんの声を耳にすることがしばしばありますが、このような場合の多くは気管支や肺(下気道)ではなく、鼻・のど・口(上気道)に原因があるのです。ですので私は“鼻・のど・口の観察”に重点を置いて診察しています。診察時には必ず、金属性の舌圧子(舌を押えるアイスの棒のようなもの)と明るいライトを使って、のどの奥の方までしっかりと観察します。さらに耳鼻科で使用する鼻鏡という器具を使って、鼻の粘膜や鼻水の様子を観察します。さらに「顔」もよく観察します。咳の原因が「顔」にある場合も少なくないからです。診察室に入ってきた時にお顔を拝見しただけで、聴診器や舌圧子などを使わなくても診断がついてしまうこともあります。

子どもの咳の原因

① 副鼻腔炎(蓄膿症)

この様なお子さんには特徴があります。年齢は1-5歳くらい、症状は鼻水と睡眠中の激しい咳込みで、時には吐きそうになるくらい咳き込みます。一緒に寝ている親御さんもお子さんの咳で目が覚めてしまうこともしばしばです。夜だけ熱が上がることもあります。しかし受診したときは咳も熱もなく、とても元気そうに見えます。聴診器を当てても気管支や肺の音に異常はありません。いつも風邪と診断されますが、良くなってもすぐにまた同じような症状を繰り返します。診察中も比較的元気なのですが、注意して観察していると、口がぽかんと開いています。黄色や緑色の鼻水も出ていて、頻回に鼻をすすっています。親御さんに話を聞くとテレビを見たりやゲームをしている時も口が開いていることが多いようです。
このような症状に気づいたら、「副鼻腔炎(蓄膿)」の可能性が高いです。小児、特に1-5歳くらいの副鼻腔炎は「繰り返す咳」や「クループ症候群」の原因になりやすいです。是非外来を受診してみて下さい。

② アレルギー性鼻炎

もう少し年齢が高い幼稚園児・保育園児以上になると、鼻水が透明でくしゃみも出る場合があります。このようなお子さんは「アレルギー性鼻炎」である可能性があります。アレルギー性鼻炎の原因(アレルゲン)はたくさんありますが、血液検査で診断することが出来ます。また、検査によってその原因がスギ花粉やハウスダスト、ダニだとわかった場合には、「免疫療法」が有効です。2018年からは5歳以上のお子さんにも「舌下免疫療法」という、アレルギー性鼻炎を原因から治療する新しい治療ができるようになりました。当科では積極的に舌下免疫療法に取り組んでおり、すでに効果がみられている患者さんも多くいます。ただし、数年間、毎日お薬を飲まなければいけないので「根気とやる気」が必要な治療ですが、興味のある方はぜひ受診して下さい。

③ 睡眠時無呼吸

眠っているときに口がぽかんと開いていて、いびきをかき、「痰が絡んだような咳」が出たり、起床時にお口の臭いが気になったりするお子さんで「扁桃」(いわゆる扁桃腺)が大きい場合は、「睡眠時無呼吸」かもしれません。このようなお子さんの場合は、診断にスマホが役に立ちます。眠っている時の様子を10秒くらいで構いませんので、動画で撮影して外来の時に見せて下さい。撮影時のポイントは、必ず仰向けの状態にして、掛け布団をめくって、頭からおへそまで画面に入るように撮影することです。
診察や睡眠動画などで睡眠時無呼吸が疑われた患者さんには、さらに精密検査が必要です。当院の小児科では尾張地区で唯一、1歳児の小児から睡眠時無呼吸の検査を行っております。ポリソムノグラフィ(PSG)という検査機器を使って、睡眠時の呼吸状態と脳波を調べる検査です。睡眠中に呼吸が止まった回数や、酸素飽和度が低下した回数を一晩中記録します。「朝なかなか起きられない」「熟睡した感じがしない」など、睡眠の質に問題を抱えている患者さんにとっても有用な検査です。中学生などの思春期以降には眠りの問題を抱えている子も多いです。気になる方はぜひ受診して下さい。

お子さんの様々な症状に悩んでいる親御さんへ

色々な医療機関を受診する度に「風邪ですね」と言われ続けている、写真のように口をポカンと開けて眠っている、週に5日以上イビキをかいている、スギ花粉症や、ダニアレルギーを治したい、扁桃腺が大きいと言われている、朝なかなか起きられない…。お子さんのこんな症状に悩んでいる方は是非一度ご相談下さい。

※写真は杉山医師の幼少期の写真です。