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第3回 もし肺がんになったら~肺がんにならないために~


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●テーマ/もし肺がんになったら~肺がんにならないために~
●講師/波戸岡 俊三 医師(一宮西病院 副院長、呼吸器外科部長)

さまざまな肺がんの治療法 検診での早期発見が肝心

肺は左右に1つずつある臓器で、右の肺は上葉・中葉・下葉の3つに分かれ、左の肺は上葉・下葉の2つに分かれています。たとえば右の肺の上葉にがんが発生した場合、ずっとそこにとどまっているわけでなく、少しずつ外に移動していき、気管支という息の道の周辺を経由してだんだん広がっていきます。がんには肺がん、胃がん、大腸がんなどさまざまな種類がありますが、どのがんであっても必ず1期・2期・3期・4期に分類されます。たとえば、肝臓など離れた臓器まで広がってしまっている状態は4期と判断します。では、肺がんの場合、私たち専門医がどこまで手術するかというと、1期から3期の前半ぐらいまでです。3期前半ぐらいまでであれば十分手術で治りうる段階です。肺がんの治療にはどのような方法があるかというと、まず1つは手術です。そして化学療法、つまりお薬です。そして放射線治療。以前はこの3つのみでしたが、2015年から免疫療法が新たに加わり、現在は4つの方法で肺がんを治療することができます。近年では、肺がんには化学療法が比較的よく効くと言われています。以前は肺がんの手術を行い転移してしまっている場合、予後は2〜3年とされていましたが、現在では5年生きることも珍しくありません。このように、新薬の開発によって肺がんの治療は進化しています。ただ、日本では肺がんは大腸がんや胃がんと同様に患者数が多く、死亡率も高いがんですので、早期発見・早期治療ができるよう肺がん検診を受けることをおすすめします。

機能温存や根治性を考え、安全・適切な治療を選択

肺がんの手術は、肩甲骨から前方にかけて切開し、がんを取り除く開胸手術が一般によく行われています。開胸手術にはこのほかに、大きな筋肉を切らずわきの下を縦に切る、痛みの少ない垂直腋窩切開法があります。また、最近では、胸に開けた4つの小さな穴からカメラと手術器具を入れ、モニター画像を見ながら治療を行う胸腔鏡手術という、より痛みの少ない体に優しい手術も行っています。手術で肺がんを治療する場合、標準的な肺葉切除、腫瘍のある区域を取る区域切除、腫瘍の部分のみを取る部分切除、片方の肺を取る全摘などさまざまな方法もあります。徹底的に腫瘍を取ればがんが治る可能性は高くなりますが、肺の機能を残して切除すれば患者さんの生活の質が保たれます。私たち専門医は、患者さんのがんの進行度や全身状態などを総合的に考え、患者さんと相談しながら安全で最適な手術を選択することを大切にしています。

タバコと肺の関係 禁煙は寿命を10年延ばす

肺がんの早期発見にはCT検査が有効です。最近ではCT検査によって「すりガラス影」という、淡いすりガラスのような陰影が見つかることが多くなっています。タバコを吸わない女性の発症が多いとされています。タバコは肺の炎症性疾患に大きく関係しており、その代表がCOPD(慢性閉塞性肺疾患)です。喫煙が原因で炎症が徐々に広がり肺が壊れていく病気です。イメージとしては、喫煙によって肺で火事が起こっているような状態です。COPDの主な症状として、ストローを吸いながら歩いているような息苦しさがあります。単に肺が悪くなるだけの病気ではなく、脳卒中や心筋梗塞、糖尿病、骨粗しょう症などを引き起こします。肺が炎症を起こすということは、全身に影響するということなのです。日本でのCOPDの患者数は530万人と推定されていますが、そのうち診断を受けているのは17万人。つまり、ほとんどのCOPDの患者さんは放置されています。COPDの患者さんの5~38%ぐらいが肺がんになり、肺がんの患者さんの10%ぐらいがCOPDであるというデータもあります。COPDは肺がんの大きな危険因子と言えます。そこで私からおすすめしたいのが、30代、40代からの禁煙です。この年齢でタバコをやめれば10年寿命が延びると考えられますので、ぜひ禁煙してください。

肺がんにならないため実践したい5つのこと

では、肺がんにならないためにはどんなことをすればいいのでしょうか。ポイントを簡単にまとめてみました。

【肺がんにならないために】
①タバコをやめる
②野菜中心の食生活
③医薬品の服用
④予防接種(インフルエンザ、肺炎球菌ワクチン)
⑤運動の習慣、毎日体を動かす、カラオケ、笑う


まずは肺がんのリスクを下げることが肝心です。野菜や果物が中心の食生活を心がけ、コレステロール値を下げる医薬品などの薬を適宜取り入れ、インフルエンザワクチンなどを接種して肺の炎症から身を守りましょう。また、運動は若さと長寿の秘訣です。朝晩、犬の散歩をしたり、スポーツジムに通ったりするといいでしょう。カラオケや大声で笑うことも肺の訓練にはもってこいですし、指の運動は脳のトレーニングにもなり、おすすめです。実践できそうなことがあれば、どんどん取り入れてみてください。そしてもう1つ大切なのは、肺がん検診を受けることです。CT検診を受けて肺がんを早期発見、早期治療することで、死亡率が20%下がると言われています。人は体のどこかに悪いところがあると全体に気を遣うようになります。一病息災こそが病気から身を守り、長生きする秘訣かもしれません。一度きりの人生、毎日を健やかに精一杯楽しみたいですね。