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第6回 心臓血管病から身を守るために(2)


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●テーマ/心臓血管病から身を守るために
●講師/寺本 智彦 医師(一宮西病院 ハートセンター副センター長、循環器内科部長)

心臓に栄養を送る冠動脈 “詰まる病気”と“狭くなる病気”

皆さん、冠動脈ってご存知でしょうか。心臓の筋肉に栄養を送る血管のことで、1本の右冠動脈と2本の左冠動脈(前に走る左前下行枝、背中側に走る左回旋枝)からなっています。私たちの心臓は冠動脈から血液をもらいながら、1日約10万回動いています。3本の冠動脈のどこかが詰まり、その先へ血液が流れなくなって心臓の筋肉が壊死してしまう病気を「心筋梗塞」と言い、血液は流れているけれど血管に狭いところがある病気を「狭心症」と言います。狭心症は、その原因によって大きく2つに分けることができます。1つは動脈硬化性の狭心症。血管にプラークというコレステロールの塊のようなものが溜まることで起こる狭心症です。もう1つは、冠攣縮性狭心症という心臓の血管が痙攣する狭心症です。血管にプラークが溜まる動脈硬化が少しだけあり、そこが何かの拍子にピクピクと痙攣することで起こります。日本人に多く、早朝に起こるのが特徴です。体が動いているときだけでなく、安静時に起こる狭心症もあるということです。

無視できないめまいや肩こり 安静時の症状にも要注意

動脈硬化性狭心症は、次のような典型的な症状があります。働き盛りの方が毎朝15分ほど駅まで歩いて通勤しています。駅に着いて階段を上がり、ホームまで行って電車に乗ると、胸が重苦しいような、締め付けられているような、上から何かを乗せられているような重い感じがします。休むと良くなりますが、再現性をもってそういった症状があります。ほかにも、毎朝10分ほど犬の散歩をしていると何となく胸が締め付けられる感じがするなど、体を動かすと症状があるのが動脈硬化性狭心症の特徴です。心臓の筋肉にうまく血液が流れないため、胸の痛みや苦しさといった症状が出るのです。一方、冠攣縮性狭心症のほうは朝方に起きることが多く、寝ているときに胸がグーッと締め付けられるような感じがあり、歯茎がグーッと持ち上がるような痛みがあります。体が起きて動き出すときにいろいろなホルモンが出て、それに反応して血管が痙攣するのです。胸の症状のほかに、無視できない狭心症や心筋梗塞の症状があります。1つはめまい。心筋梗塞を起こすと脈がゆっくりになり、めまいを起こしたり意識を失ったりします。もう1つは胃の症状。胃カメラの検査では問題がなかったのに、食べると胃もたれを感じるという方もいらっしゃいます。そして、肩こり。胸の症状は強くないが肩こりがひどいという方が、実は心筋梗塞や狭心症の前触れだったということもあります。

動脈硬化は心臓血管病のもと 10カ条とは逆の生活を

動脈硬化性の狭心症や心筋梗塞の原因は動脈硬化です。次の状態に当てはまる方は、動脈硬化が進みやすいので注意が必要です。糖尿病がある、高血圧、コレステロール(LDLコレステロール)が高い、肥満、過去に脳血管の病気をしたことがある、タバコを吸う、動脈硬化の家族歴がある、などが該当します。では、どうすれば動脈硬化を予防できるのでしょうか。そのヒントとして「亭主を早死にさせる10カ条」というアメリカのブラックジョークがあるのでご紹介します。

これをすると心臓が危ない10カ条
①夫を太らせなさい
(25㎏太らせると10年寿命が縮む)
②酒をうんと飲ませなさい
③いつも運動させないで座らせておきなさい
④脂、特に天然のバターを食べさせなさい
⑤塩分の多い食べ物に慣れさせなさい
⑥砂糖など甘いものをたくさん食べさせ、ミルクと砂糖をたっぷり入れたコーヒーをがぶがぶ飲ませなさい
(ブラックであれば1日2杯まではOK)
⑦タバコを勧めなさい
⑧夜更かしをさせなさい
(テレビの深夜放送を見て、パーティをときどきやる)
⑨休暇旅行には行かせない
⑩最後の仕上げは終始文句をいっていじめなさい
(これにはお金と子どもの文句が一番良い)


こういう生活をすると動脈硬化になってしまうので、逆の生活を心がけましょうということです。

まずは簡便な検査から 早期発見・治療が肝心

もしこの10カ条を守れなかった場合、まずは2つの検査を受けることをおすすめします。1つは頸動脈エコー検査。頸動脈に動脈硬化があれば、心臓の血管にも動脈硬化がある可能性が考えられるので、それを調べます。もう1つはABI検査。足の血圧と腕の血圧を測って血管年齢を調べることで、動脈硬化の程度などがわかります。こうした簡便な検査は保険診療で受けることができます。また、より詳しく心臓の血管を調べるには、エコー・ABI・心臓CT・血液検査がセットになった心臓血管スクリーニング検査がおすすめです。先ほど挙げた動脈硬化の危険因子のある方は、一度こうした検査を受けられるといいと思います。私はよく外来の患者様に「80歳で心臓血管病が見つかっても悲観することはありません」とお話ししています。心臓血管病を早期発見し、しっかり治療していただけば、また通常どおりの元気な生活を送ることができるからです。最近はカテーテル治療が一般的になりつつあり、体への負担が少ない治療をすることができます。心臓血管病は早期発見、早期治療が何より肝心。胸の症状、めまいや胃のもたれ、肩こりなど気になる症状があれば、放っておかず早めに専門の医療機関を受診してください。