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第7回 脳卒中のお話~予防から治療まで~(2)


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●テーマ/脳卒中のお話~予防から治療まで~
●講師/宮嵜 章宏 医師(一宮西病院 診療部長、脳神経外科部長、救急科部長補佐)

脳卒中の分類のなかで発症率が高いのは脳梗塞

脳卒中には脳の血管が破れる病気と詰まる病気があります。血管が破れる病気には、突然死の原因となるくも膜下出血と、手足のまひなどの症状が出る脳出血があります。そして、血管が詰まる病気が脳梗塞。発症する割合は脳梗塞が7割ぐらいで一番多く、脳出血が1~2割、くも膜下出血が1割以下となっています。

半身まひや言語障害 症状があればすぐ病院へ

まず始めに脳梗塞について詳しくお話しします。脳梗塞には3つのタイプがあり、その1つは脳の毛細血管が詰まるラクナ梗塞です。また、最近増えているのは、脳の太い血管や頸動脈にプラークという脂肪の塊が溜まって起こるアテローム脳梗塞。そしてもう1つが、心臓にできた血栓が脳の血管に詰まる心原性脳梗塞です。脳梗塞の症状で代表的なものは、手足や顔面の半身まひです。脳は真ん中から左右に分かれているので、詰まった側と反対側の半身に症状が出ることが多いです。このほかにも言葉がしゃべれない、ろれつが回らない、急に歩けなくなるといった症状や、最悪の場合は意識をなくすこともあります。しかも、これらの症状は血管が詰まった瞬間に突然出るため、脳梗塞は予測が困難な病気と言われます。一昔前は、脳梗塞の症状が出たら危ないから動かさずに寝かせておく、という考えがありましたが、現在は症状が出たら1分でも早く病院に行くというのが常識になっています。なぜなら、早ければ早いほど治療の選択肢が増え、有効な治療を行えるからです。

太い血管が詰まったらカテーテルで血栓を回収

10年ほど前、血栓を溶かすお薬(血栓溶解薬)が認可されました。血管が詰まってから4、5時間以内であればこのお薬を使って血栓を溶かすことができ、画期的な治療法として注目を集めました。ただ、この治療法をするうちに、細い血管が詰まった場合は血栓が溶ける可能性が高いが、太い血管が詰まった場合は血栓の量が多いため溶けないことがわかってきたのです。しかし、2014年頃に脳梗塞の新たな治療法が出てきました。それが、脳の血管に詰まった血栓をカテーテルで取ってしまおうという血栓回収療法です。この治療は足の付け根の動脈から行います。まず、足の付け根の動脈からカテーテルを挿入し、ステント(金属の網)を脳の患部まで運びます。次に血栓の中にステントを広げ、充分に密着させます。そして、絡みついた血栓と共にステントを体外に回収します。血管が再開通し、すぐに血流が正常に戻ります。治療時間はスムーズにいけば20分ほどで終了します。この治療法は6時間以内に行った場合に有効とされていて、後遺症を最小限にするには1分でも早く治療を始めなければなりません。ですから先ほど述べたように、脳梗塞の症状が出たら1分でも早く病院に行くことが肝心なのです。

素材提供:日本メドトロニック株式会社

脳ドックで動脈をチェック 血圧管理が脳出血を防ぐ

次にくも膜下出血と脳出血についてお話しします。くも膜下出血は、後頭部をハンマーで殴られたような頭痛やおう吐、意識をなくすなどの症状があります。脳動脈瘤の先端が破裂して出血し、一瞬にしてくも膜の下の髄液に血が広がり、脳の機能が落ちて呼吸が止まってしまう命に関わる病気です。治療法は2つあります。1つはクリッピング術という手術で、こめかみのあたりに小さな穴を開けて窓を作り、ここから専用のクリップを持ち込んで正常な血管を残したまま動脈瘤だけを止めます。もう1つはカテーテルを使った血管内治療です。足の付け根の動脈からマイクロカテーテルを通し、動脈瘤にプラチナのコイルを詰めて破裂しないようにします。くも膜下出血になりやすいのは、ご家族にくも膜下出血を起こした方のある方や高血圧の方、また飲酒や喫煙も危険因子ですし、女性がなりやすいのも特徴です。動脈瘤は脳ドックでないとわからないので、危険因子のある方は脳ドックを受けることをおすすめします。脳出血は脳梗塞と同じように突然起こり、手足のまひや言語障害などの神経症状や、おう吐、頭痛などがあります。危険因子は高血圧と飲酒で、特に血圧が高い方に多いので、ぜひ血圧は下げていただきたいです。脳出血の治療については、手術をするのは2割程度で、ほとんどはリハビリをして血圧を下げる治療を行います。

今日からすぐに実践を!脳卒中予防十か条

では、脳卒中にならないためにはどうすればいいでしょうか。公益社団法人日本脳卒中協会が出している脳卒中予防十か条を紹介しますので、ぜひ実践してみてください。

脳卒中予防十か条
① 手始めに 高血圧から 治しましょう
② 糖尿病 放っておいたら 悔い残る
③ 不整脈 見つかり次第 すぐ受診
④ 予防には タバコを止める 意志を持て
⑤ アルコール 控え目は薬 過ぎれば毒
⑥ 高すぎる コレステロールも 見逃すな
⑦ お食事の 塩分・脂肪 控えめに
⑧ 体力に 合った運動 続けよう
⑨ 万病の 引き金になる 太りすぎ
⑩ 脳卒中 起きたらすぐに 病院へ


もう1つ、脳卒中の症状を簡単に判断するFASTという標語を紹介します。FはFACE(顔面がゆがむ)、AはARMS(腕が上がらない)、SはSPEECH(ろれつが回らない)。こうした症状が突然起こったときにはT、TIME(時間)、一刻も早く救急車を呼んでください。