グローバルナビゲーションへ

本文へ

ローカルナビゲーションへ

フッターへ




第9回 心臓血管病から身を守るために(3)


ホーム > 公開講座のご案内 > 市民公開講座 > WEB公開講座 >  第9回 心臓血管病から身を守るために(3)

●テーマ/心臓血管病から身を守るために
●講師/寺本 智彦 医師(一宮西病院 ハートセンター副センター長、循環器内科部長)

冠動脈が詰まる心筋梗塞・狭いところがある狭心症

心臓の病気はいろいろあります。狭心症や心筋梗塞などの虚血性心疾患。僧帽弁逆流症や狭窄症といった弁膜症。肥大型心筋症や拡張型心筋症のような特殊な病気。どれも深刻な心臓の病気ではありますが、今日は心臓の血管が狭くなったり詰まったりする虚血性心疾患についてお話しします。私たちの心臓は筋肉でできていて、表面を走る冠動脈という血管から栄養をもらって動いています。冠動脈は3本あり、右側に走る右冠動脈が1本、そして左側に走る左冠動脈は、前下行枝と回旋枝の2本に分岐しています。細かい血管はたくさんありますが、大きな血管はこの3本で、冠動脈のどこかが詰まる病気を心筋梗塞と言い、狭くなる病気を狭心症と言います。

心臓の筋肉が壊死する心筋梗塞・七転八倒する痛みが特徴

心筋梗塞がどのように起こるかは、顔のおできをイメージしていただくとわかりやすいと思います。顔のおできが潰れると中身が出て、かさぶたができますね。これが血管の中で起こると、血栓という血の塊ができて血管を詰まらせてしまいます。詰まると血液が流れなくなってしまうため、その先の筋肉が壊死してしまうのです。心筋梗塞の症状には七転八倒するような痛み、胸の圧迫感、押さえつけられる感じなどがあります。ただ、痛みには個人差があり、糖尿病のある方は痛みが鈍くなると言われますし、血管が少しずつ狭くなる方と急に詰まる方では、痛みの程度が違うと言われています。心筋梗塞の痛みは、寝ていても立っていても、動きに関係なく常に強く痛むという特徴があります。腰をひねったり、前かがみになったりすると胸が痛い場合は、筋肉や神経が原因と考えられます。

狭心症のタイプは2種類・動脈硬化性と冠攣縮性

心臓の血管が詰まってしまう心筋梗塞に対し、詰まってはいないが狭い部分があり、血液の流れが悪くなる病気が狭心症です。狭心症には大きく2つあり、1つは動脈硬化が原因で血管が狭くなる狭心症。もう1つは、血管の痙攣によって起こる冠攣縮性狭心症です。動脈硬化性の狭心症の症状は、例えば次のようなものがあります。通勤のため駅まで歩き、階段を駆け上がって電車に乗ると、胸が圧迫されるような感じがする、気持ちが悪い、胸が締め付けられる、歯茎が持ち上がるような感じがする、左肩がだるくなる、などがあります。また、毎朝、犬の散歩に行き10分ほど歩くと胸の圧迫を感じるという症状もあります。どちらの例も休むと良くなりますが、毎日同じように動くと同じ状態になるというのが典型的な症状です。心臓の血管に狭いところがあると、その先に上手く血液が流れないため筋肉に痛みが現れるのです。冠攣縮性狭心症は、日本人に多いと言われています。安静時に起こるのが特徴で、典型的な症状は、寝ていて朝4時頃になると胸が苦しくて目が覚める、喉元から歯茎が持ち上がるような感じがするなどです。こうした症状が1週間に2~3回あるようなら、一度、循環器内科を受診してください。

胸の痛みだけじゃない!めまいや肩こり、胃もたれ

心筋梗塞や狭心症の症状は、胸の痛みだけではありません。たとえばめまい。心臓の血管が狭いと脈がゆっくりになり、めまいがすることがあります。また、肩こり感。心臓の筋肉に血流が行かないことから、特に左肩の凝りを訴える患者さんが多いです。そして胃もたれ。胃の近くを走る右冠動脈の血液が不足することで、胃もたれの症状を訴える患者さんもおられます。胸の痛みだけでなく、これらの症状にも注意が必要です。

心臓血管病から身を守るため10カ条に気を付け、検査を

ここからは、狭心症の原因にもなっている動脈硬化についてお話しします。動脈硬化というのは、簡単に言うとコレステロールの塊です。コレステロールが溜まってしまう主な原因は、次のようなものがあります。糖尿病、高血圧、高脂血症(コレステロール・中性脂肪)、肥満、虚血性心疾患や脳梗塞などの既往、喫煙習慣、遺伝など。特に糖尿病があると動脈硬化が進みやすく、心臓血管病になる可能性が高くなるというデータもあります。では、どうすれば心臓血管病から身を守れるのでしょうか。アメリカの「亭主を早死にさせる10カ条」というジョークがあるのでご覧ください。

<亭主を早死にさせる10カ条(動脈硬化を招く10カ条)>

①夫を太らせなさい
(25㎏太らせると10年寿命が縮む)
②酒をうんと飲ませなさい
③いつも運動させないで座らせておきなさい
④脂、特に天然のバターを食べさせなさい
⑤塩分の多い食べ物に慣れさせなさい
⑥砂糖など甘いものをたくさん食べさせ、ミルクと砂糖をたっぷり入れたコーヒーをがぶがぶ飲ませなさい
(ブラックであれば1日2杯まではOK)
⑦タバコを勧めなさい
⑧夜更かしをさせなさい
(テレビの深夜放送を見て、パーティをときどきやる)
⑨休暇旅行には行かせない
⑩最後の仕上げは終始文句をいっていじめなさい
(これにはお金と子どもの文句が一番良い)


つまり、動脈硬化や心臓血管病にならないためには、こういう生活をしないよう気を付けましょうということです。これを守れなかった場合は検査がおすすめです。簡便で費用の負担が少ないのは、頸動脈エコーや、腕の血管と足の血管を測るABI検査。心臓血管病だけでなく大動脈瘤や弁膜症などの病気まで詳しくチェックするなら、心臓CT検査がおすすめです。早期治療には早期発見が肝心。気になる症状があれば、早めに受診して検査を受けましょう。