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これだけは知っておきたいかぜのお話


かぜのはなし

冬の時期は鼻かぜ、のどかぜ、胃腸かぜなどの様々なかぜが流行します。“かぜをひいた”と思ったら、みなさんは病院にどんなことを求められるでしょうか。「はやく治してほしい」「症状をおさえる薬がほしい」「抗生物質がほしい」─どれも切実な思いがあって病院に来られていることと思います。

救急医は患者さまがかぜっぽい症状で来られた場合であっても、常に最悪の病気ではないかを確認することに力を注いでいます。というのも、風邪に似た怖い病気があるからです。中でもやっかいなのは、初期にかぜと同じ症状しか出ないグループの病気です。代表例を挙げてみましょう。
かぜと似た初期症状の病気
急性心筋炎 下痢や嘔吐、発熱のために胃腸かぜと診断されることがあります。
虫垂炎 いわゆる盲腸。腹痛、嘔吐のために胃腸かぜと診断されることがあります。
髄膜炎 頭痛と発熱のためにかぜと診断されることがあります。
くも膜下出血 頭痛と嘔吐のために胃腸かぜと診断されることがあります。
これらの病気は数日様子を見ないと、本当にかぜと診断してよいかわかりにくいものばかりで、症状が出て間もない時期に検査をしても異常を示さないことがあります。そのため我々は自宅での様子観察をお願いして、症状に変化が出るかどうかを見ていただくようにアドバイスをすることになります。
一般的に風邪であれば「セルフ・リミテッド(時間ぐすり)」と言われ、時間が経てば薬を飲まなくても自分の免役のちからで治っていくものですから、あわてる必要はありません。病院でできるのは、患者さまへ4つのステップで説明を処方することになります。

かぜと診断されたときに医者から受ける説明 4つのステップ※1

  1. 抗生物質が治療の助けにならないことの説明
  2. 治癒の助けになる方法を提案
  3. どのくらいの時間、症状が続くのかを予測し伝える
  4. 症状が良くならないときのことを話し合う

アメリカ家庭医学会が、かぜに対して医学的に効果のある対応と効果のない対応を明確に教えてくれています。家庭でできることや薬局で求められる薬もありますので、下記の表※1をご覧ください。

おとな

効果のある対応
  • アセトアミノフェン、NSAIDといった解熱鎮痛薬
  • 鼻水に対する抗ヒスタミン薬と充血除去剤(オキシメタゾリン)の併用
  • 鼻炎に対する鼻腔内オキシメタゾリン(ナシビン®)
  • 咳に対する鼻腔内イプラトロピウム(アトロベント®)
  • 症状全般に対する酢酸亜鉛(80-92mg/日)
  • ラクトバチルス・カゼイ菌の摂取 ※高齢者のみ
効果のない対応
  • 抗生物質、抗ウイルス薬
  • 抗ヒスタミン薬の単剤使用
  • 鼻腔内ステロイド
  • 咳止めとしてのコデイン、咳止め薬、去痰薬
  • エキナセア(薬用ハーブ)
  • 蒸気、ビタミンC、ビタミンD、ビタミンE

こども

効果のある対応
  • アセトアミノフェン、イブプロフェンといった解熱薬
  • はちみつ(2歳以上)
    2~5歳 2.5ml/1回 6~11歳 5ml/1回 12~18歳 10ml/1回
  • 鼻水に対する鼻腔内イプラトロピウム(アトロベント®)
  • 鼻炎に対する鼻腔内洗浄
  • メントールやユーカリ油を胸部に塗る
  • ビタミンC摂取
効果のない対応
  • 抗生物質
  • 抗ヒスタミン薬の単独使用
    抗ヒスタミン薬と充血除去剤の併用
  • 咳止め薬、咳止め薬+気管支拡張薬、去痰薬
  • 鼻腔内ステロイド
  • 経口ステロイド
  • 蒸気、ビタミンD
出典
※1)DeGeorge KC, Ring DJ, Dalrymple SN. Treatment of the Common Cold. Am Fam Physician. 2019 Sep 1;100(5):281-289.

コラム執筆

一宮西病院 総合救急部 救急科
部長
安藤 裕貴

2008年、富山大学卒業。富山大学附属病院・富山県厚生農業協同組合連合会高岡病院で初期研修後、福井大学医学部附属病院にて後期研修。福井市立敦賀病院、名古屋掖済会病院を経て、2018年より一宮西病院。

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※本ページに掲載されている情報は、2020年3月時点のものです。
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