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第5回 大動脈弁狭窄症とTAVI


(小高)水曜日のこの時間は『健康のつボ~心臓病について~』。適切な治療を行わなければ死にも直結する心臓病について、専門の先生にお話をうかがいます。一宮西病院 ハートセンターセンター長 心臓血管外科部長 弁膜症センター長の澤﨑優(さわざき まさる)先生です。

(小高)冠動脈や大動脈など血管系の病気についてうかがってきましたが、今週からは、澤﨑先生の専門である心臓の「弁」にまつわる病気、『心臓弁膜症について詳しくうかがっていきます。

(つボイ)はい、わたしもこの心臓弁膜症についてはしっかり勉強したいなと思っておりますよ!

(小高)はい、心臓には4つの弁がありますよね。今日はその中の大動脈弁のお話をつボイさんと小高さんがお聞きしています。澤﨑先生です。



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(澤﨑)いくつか心臓には弁がありまして、それぞれ病気が違うんですね。

(つボイ)4つくらいあるんですよね。

(澤﨑)右側の心臓に三尖弁と肺動脈弁、左側の心臓に僧帽弁と大動脈弁と合計4つあります。

(つボイ)はい。

(澤﨑)今日はですね、最近増えてきている大動脈弁狭窄症という病気の話をしたいと思います。弁の病気は狭くなるか、漏れるかどちらかなんですね。大動脈弁というのは心臓の出口の弁です。これは大動脈の内膜と繋がってますから動脈硬化を起こすんですね。

(小高)硬くなるんですよね血管が…

(澤﨑)カルシウムが沈着してカチカチになります。3枚の膜で出来ているんですけれども、これが段々と開かなくなる。そして症状が出てきて、胸が痛い、歩くと息切れがする、失神する。聴診で簡単にわかるんですけど、動脈硬化ですから若い人には起きないですね。70歳くらいを超えてくると、歩くと息切れがする。歳のせいかなとみんな思いますよね。実はその中に隠れてるんです。

(つボイ)ありゃ~。

(小高)歩くと息切れがするっていうのは、辛くて辛くて倒れてしまいそうなくらいの息切れというわけでもなく…

(澤﨑)じゃない。人についていけない。一緒に夫婦で歩いていると、お父さんだけ遅くなっていっちゃう。

(小高)あ~、でも「お父さん、お父さんちょっと待って!」とか「ちょっと早いよ!」とか、割とよく見かける光景のような気がするんですが。

(澤﨑)実際に運動不足でそうなってる方もいらっしゃるんですけれども、実はその中に病気が隠れていて、簡単に診断できるんですね。それは、正確な話をしますと、弁が狭いということは、弁の上流から下流に向かって圧の差が生じるんですね。その平均の圧の差が40mhgを超えてくると、手術をしなくてはいけない。手術すれば10年以上生きられる。ほかっておくと1年以内に死ぬ確率が高くなる。

(つボイ)これは薬飲んだりとかではなくて、手術が必要ということ?

(澤﨑)薬である程度は効くんですけど、やっぱり突然死することがあります。お年寄りですから機械弁はあまり使わなくて、生体弁というウシとかブタの弁を使うんですけど。簡単にいうと機械弁は血液が固まりやすいために、ワーファリンという薬を飲まなければならないんですね。これは高齢者にとっては非常に不利で、例えばポリープができたとか癌ができたときに、他の治療ができない。あとは薬を飲み忘れたとか、これはちゃんと飲まないと危ない薬なので。ですから大体70歳以上の方には生体弁の説明をしてますね。

(つボイ)手術をすると。

(澤﨑)この病気のもう一つの問題点は、高齢者の病気なので手術に耐えられるかどうか。85歳とかね、そういう方をどうするか。

(つボイ)どうするんですか?

(澤﨑)昔はそういう方は手術してなかったです。やると死ぬ場合が多いですから。心臓では死なないけど、身体が元気になれない。ずっと寝たきりになったり。

ところが10年程前から新しい治療法が出てきて。カテーテルで人工弁を大動脈の中に入れて、弁のところまで持って行って、そこでぶっと膨らませるんです。TAVI

最近ではかなり安全になってきて、むしろ今の議論はこの人は手術でやるかTAVIでやるか。

(つボイ)TAVIという言葉が出てきました。

(澤﨑)カテーテルで治療するのを英語で言うと、

Transcatheter Aortic Valve Implantation 大動脈を介して弁を取り換える。

その頭文字を取ってTAVIと言うんですね。TAVIの欠点は耐久性がちょっと落ちるんです。

(小高)じゃあ、あんまり若い人にはもたなくなっちゃうってことですか?

(澤﨑)80歳でもめちゃくちゃ元気な人はいますからね。そういう人は慎重にその人の脆弱さ、身体の弱さを見極めなければいけない。それが大切になってきますね。ただ、今成績が非常にいいので今後変わってくる可能性はあるんですね。段々若い人にTAVIがシフトしていく可能性はあります。



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(つボイ)はい、技術の進歩は目を見張るものがありますけどね。まずは、疲れているだけとか、歳だからしょうがないとか、自己判断していはいけないなぁと思いましたね。

(小高)そうですね~、やっぱり専門家の先生に診てもらって、正しく判断して頂くことが重要なんですね。診断がつけば、その後の治療法を考えていくことができます。

来週は僧帽弁閉鎖不全症についてうかがいます。

(小高)そしてこのコーナーでは、いろいろな病気について専門家の先生に解説していただいております。みなさんもテーマとして取り上げてほしい病気や症状などがありましたら、このコーナーまでお寄せください。専門の先生に教えていただきます。

(つボイ)はい、質問お待ちいたしております!

(小高)『健康のつボ~心臓病について~』でした。



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