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単独インタビュー


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側弯症治療のグローバルドクター 整形外科医 川上紀明

側弯症治療のグローバルドクター 整形外科医 川上紀明



川上 紀明(かわかみ のりあき)先生

所属:整形外科 脊椎外科部長
卒業:1981 年卒(名古屋大学)
経歴:東京厚生年金病院、名古屋大学医学部附属病院整形外科、名城病院整形外科脊椎・脊髄センター長。


今すべきは、20年、30年後を見据えた下地を作ること

先生が専門にされている診療について教えてください。

現在は脊椎全般をやっていますが、その中で多いのは特発性側弯症とその他の子供の病気ですね。前職の病院では“10人患者さんがいると9人は子供で1人が大人”でした。しかもその疾患のレベルは、僕が断ったらやる人いないんじゃないかというぐらいの、高度でリスクのある治療をやっていました。当院に来てからは高齢者が多いですね。今は80代や90代の方でもできる手術があるので、患者さんが希望するならそれも検討する方向でやっています。

同じ愛知県でも、尾張西部医療圏と名古屋医療圏は違いますか?

名古屋にはお子さんを診る医療機関がそれなりにあるのですが、自分が診た患者さんが「側弯を専門にしているよ」と学校で話し、徐々にお子さんが集まるようになりました。そうやって自分の診る患者さんは、お子さんが圧倒的に多くなりました。
当院に来て、法人内にある上林記念病院・尾西記念病院・一宮医療療育センターを見学したのですが、お年寄りが多く、お年寄りのニーズが高いと感じました。一方で今後小児の症例を増やしていくには、親御さんがインターネットで情報を得る時代なので、医者の中でも評価される高いレベルの医療をやらないといけない、やりっぱなしの医療ではダメだと思います。
当院は救急とお年寄りの医療で成り立っていて、十分業績も上がっています。しかし、20年、30年後に人口が減りお年寄りも減った時に、現状のままでうまくやっていけるのでしょうか?今後は小学生・中学生・高校生の成長期の子供をちゃんと診られるチームが必要で、今のうちにある程度の下地を作り、20年後に繋がるようにしておく必要があります。

将来性を感じる病院 スピード感、フットワークも抜群

先生がこの病院に来たきっかけを教えてください。

ひとつは大学です。大学病院の医局人事は何かとストレスです。教授への忖度、育てた人材の急な引き抜きなどもありました。若い医師をもっと育てたかったのですが、医局人事に左右され、その機会が制限されていました。もうひとつは、前に勤務していた病院での他科の元気度や設備に限界があると感じたことです。やりたいことがあり、ある程度まで頑張り、あるレベルを越えたところで「この環境ではこれ以上は無理だな」と感じるようになったのです。それでも黙々と自分の目標に向かって定年までは勤めようとしていたのですが、60代になると将来の展望が見えなくなってしまいました。そのような時、一宮西病院からのお誘いがあったのです。一宮西病院は名前だけは知ってはいたのですが、尾張の小さい病院だと思っていました。しかし病院の説明を聞き、いつの間にか大きくなっていて、ドクターの数も増えている大変面白そうな病院だなと思い、見学に行きました。将来的なハード面の拡張も構想されていて将来性を感じたので、決断しました。

当院へ赴任されての率直な印象と、これまでに勤務してきた病院との違いをお聞かせください。

公立病院はどこの病院でも同じだと思いますがフットワークが悪く、何をやるにも時間がかかる。1歩1歩階段をのぼる感じですね。その点、当院のスピード感、それをサポートする事務の人達のアクティビティの高さには驚きました!我々が治療に専念できるという意味では、システム上うまく回っていると思います。しかし一方で、これはどこの病院の整形外科でも言えるのですが、これだけ人が増えてくると横のつながりが希薄になりがちです。常に協力体制が求められ、知識的にも共有する必要がかなりあるので、今もやっていますが1週間に1回は関係するスタッフが集まるということは、絶対に必要ですね。

他の診療科との連携も出てくると思いますが、その点はどうですか?

これだけドクターが多いと、顔と名前がわからないですね(笑)!自分の診た患者さんの繋がりでドクターを知り、おそらく何年もかかって1つ1つ関係を築いていくしかないのかもしれません。大病院ではどこでもそうですが、ドクター同士の横の繋がりを築くのが難しいです。ただ日々の業務における医師、検査技師、MA、看護師の皆さんとの連携は皆さん前向きで、フットワークがいいですね。

理想像を常に持ち、目の前の患者さんに真摯に向き合う

若手、中堅のドクターへ、アドバイスなどはありますか?

患者さんの訴えに対して真摯に向き合うこと、これが一番大事です。新しい病気やわかってない病気もあるのに、自分で目を閉ざしてしまうのは間違いです。患者さんの言うことを真摯に聞くことが医療で最も大切です。また、現時点で手術適応がない患者さんでも、将来は手術が必要になる可能性もあります。患者さんひとりひとりを大事にし、「ここに来て良かった」と満足してもらえる医療を行えば、特に宣伝をしなくても自ずと口コミが広がっていくと思います。

医師としてのキャリアを考える上で、大事なことはなんでしょうか?

自分がどういう医師になりたいかというビジョンを常に持って、努力することですね。父が開業していたこともあり、いつかは開業しようかなと、整形を広くやればいいやと思っていました。ですが大学に帰局した時にアメリカ留学の機会を与えてもらい、そこで側弯症の世界的な第一人者のアメリカ人ドクターと出会ったことで、私の人生が変わりました。その人みたいな医者になりたいと思うようになったのです。1つの出会いが、私の人生を変えました!人と人とのつながりは、アメリカ人だろうが日本人だろうが関係ありません。師匠と弟子っていう感じで、本当に頑張ろうという気になりました。そのように導いてくれた方がいた方がいいですね。

こういう考え方をもっていたら当院に合うのではないか、というのはありますか?

ここは地域医療を主軸とした市中病院です。やはり基幹病院とかでかなり頑張って症例数をこなし、さらにその中で学会発表などをする等、常に向上心が高い医師が合うと思いますね。

臨床・学術の両輪で世界レベルの病院へ

今後どういうことをやっていきたいですか?

僕自身この病院に来たからには、「あそこ(一宮西病院)って有名ですよね?」と言われたいですよね!前の病院もそうでしたけど、僕達が頑張って25年やってきて、「脊椎が有名な病院ですよね」と言われるようになりました。アメリカでも病院名は知ってるよと言われました。一宮西病院も名前を覚えてもらえるようになるには、救急医療、一般診療、そして新しい医療もそれぞれしっかり行いレベルを高め、その結果を分析し学会を含めあらゆる形で社会に発表し貢献していくべきです。そしてそれを客観的に評価してもらう、そのステージまで持っていかないといけないと思っています。



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