岡田　次は大腸ですね、主に大腸がんです。今でも多いがんで、消化器系のがんの中で一番多いです。

つボイ　胃がんよりも多いんですね！

岡田　意外にも多いですね。今、増加傾向でもあります。

つボイ　増加傾向！先生、なんで増加するんですか？

岡田　一概には言えませんが、高齢化の問題もありますし、あと欧米系の食生活というのも、やっぱり大腸がんのリスクと言われていますので、昔より少し増えてきてるという状況ではあります。

小高　その大腸がんにも、ロボット支援手術というのはやはり多く使われるんですか？

岡田　そちらに関しても最近は増えてきています。大腸の中でも、結腸と直腸の2つに分かれます。直腸というのは肛門に近いところで、お尻側ですね。それ以外の大腸のことを結腸と言います。

つボイ　はい。

岡田　まず、結腸がんに対しては、こちらも以前から開腹手術と腹腔鏡手術が行われていまして、最近ではロボット手術が行われています。腹腔鏡手術でも、実はそれなりにクオリティーの高い手術ができるんですけど、ロボット手術だとより正確な手術ができます。血管の周りの剥離操作では、血管を傷つけずに、出血を最小限にして丁寧に手術ができるというところで、結腸がんに対する手術でもロボット手術が数を増やしてきています。

つボイ　それは直腸がんではまたちょこっと違うんですか。

岡田　場所がやっぱり違いますからね。元々は直腸がんの方が先にロボット手術が保険適用になりました。というのは、直腸がんに対するロボット支援手術のほうがメリットがより大きいからです。直腸というのはお尻に近いところで、骨盤の中にあります。骨盤の骨に守られて、かなり狭くなっていくところをを通っている直腸に対する手術で、穴を掘っていくような手術になります。骨盤の中を掘り進めていくような感覚ですね。

つボイ　ほぉ～。

岡田　骨に囲まれてスペースが限られているので、今まで腹腔鏡でも行っていたんですが、長い棒だけの鉗子では結構窮屈な手術でした。ですが、ロボット手術だと関節があって、自分の手のような動きをロボットの手がしてくれますので、痒いところに手が届くような、今まで届かなかったところに届いて、より正確な剥離操作が可能になりました。結腸がんでも、もちろんそのメリットはあるんですが、直腸がんだとよりロボットのメリットが生かされるのかなと思います。

つボイ　なるほど～。今聞いてると、直腸がんの方が難しそうだなって、場所的に厄介な感じですね。

岡田　そうですね。場所的に厄介で苦労していたんですけど、ロボットの手術ができるようになって、その苦労をする度合いがちょっと減ったかなというところですね。正確に剥離ができることで、直腸がんの場合、肛門が残せるかどうか、人工肛門になるかどうかというところが一つ、患者さん的にはすごく気になるところではあると思うんです。今までは、かなり肛門に近いところの直腸がんだと、肛門を残すことが難しかったんです。

つボイ　全部取っちゃうわけですね。

岡田　人工肛門になる症例が少し減ってきているという印象はありますね。正確に剥離をして、より肛門に近いところで切れるようになったことで、肛門が残せる。そういう症例が、昔と比べたら増えてきているように感じます。

小高　それがやっぱりロボット支援手術の導入というところが随分と貢献してるのかなということですかね。

岡田　もちろん、がんに対する根治度ですね。がんはしっかり取った上で、肛門の機能も温存してると、そういうところができるようになってきたのかなと思います。

つボイ　ロボット支援手術によって、直腸がんでも肛門を残せるケースが増えてきてるという、そういうデータは心強いですよね。

小高　病気の根治度と機能温存を両立させることができるのが、ロボット支援手術のいいところなんですね。来週も岡田先生にロボット支援手術についてうかがいます。

そしてこのコーナー「健康のつボ！」では、いろいろな病気について専門家の先生に解説していただいております。みなさんもテーマとして取り上げてほしい病気や症状などがありましたら、このコーナーまでお寄せください。専門の先生に教えていただきます。

つボイ　はい、質問お待ちいたしております！

小高　「健康のつボ！～ロボット支援手術～」でした。