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第7回 くも膜下出血とは②


(小高)
水曜日のこのコーナーは『健康のつボ~脳卒中について~』。がん・心臓病と並んで日本人の死因の上位に挙げられる『脳卒中』について専門の先生にお話を伺っています。ゲストは一宮西病院の脳神経外科・医長の伊藤圭佑先生です。よろしくお願いします。

(伊藤)
よろしくお願いします。

(小高)
先週に続いて脳卒中の『くも膜下出血』について今日も教えていただきます。今日は先生にその治療法について伺っていこうかなと思っているんですが。

(つボイ)
どんな治療法があるんでしょう?

(伊藤)
くも膜下出血に対する治療というよりは、その原因となる『動脈瘤』に対する治療法になりますけど、一般的に開頭して頭を開ける『クリッピング術』があります。これは脳を開けていって動脈瘤を外側から見つけて、動脈瘤の根元に金属のクリップをかけて動脈瘤を潰しちゃうという手術です。また、最近増えているのは、頭を開けないで血管の内側から動脈瘤の中まで細いカテーテルを入れて、そこから金属製のコイルを詰めて動脈瘤中に血液が入り込まないようにするという『コイル塞栓(そくせん)術』という治療法があります。

(つボイ)
その場合は、どのあたりからカテーテルを入れるんですか?

(伊藤)
足の付け根、いわゆる鼠径部からです。

(つボイ)
足から頭の方までカテーテルを通すんですね!

(小高)
私、そっちの治療法のほうがいいわ!開頭って頭蓋骨まで開けちゃうんでしょう?

(伊藤)
そうですね。一回骨を外します。

(小高)
そんなの怖い怖い怖い…。

(伊藤)
だから最近は『コイル塞栓術』は増えていますね。

(つボイ)
身体への負担も軽いんでしょうね。背の高い人は途中でカテーテルが足りなくなって「あれ?短い…」とかそんな事はならないですか?

(小高)
そんなわけないでしょ!

(伊藤)
まぁ…そういうことは無いですね。

(小高)
十分長さはありますから。ただ、治療法もその時の状態によって最適なものは変わってくるんですよね。

(伊藤)
そうですね。動脈瘤の形や場所でも、やっぱりどちらの治療がやりやすい・やりにくいというのはあるので、必ずどっちかじゃないとということではないです。

(つボイ)
その都度の判断なんですね。やっぱり治療は早いほうが良いんですか?

(伊藤)
もちろん早いほうが良いですけれど、治療はあくまでも“再出血の予防”という形になります。出血自体は大抵もう病院に運ばれてきた時には自然に止まっています。ただ、かろうじてかさぶたみたいな形で穴が塞がっているだけでそれがいつ再破裂するか分からないので、再破裂を予防する治療を行います。

(小高)
先週に先生が仰っていた『くも膜下出血になる前の治療』というのは?

(伊藤)
それもいわゆる動脈瘤の治療になりますけれど、動脈瘤があるということが分かっていれば「破裂する前にその動脈瘤自体を治療しましょう」ということです。治療法は全く同じで、頭を開ける『クリッピング術』か、カテーテルを使った『コイル塞栓術』です。

(つボイ)
でも、なかなかなんでもなんでもないのに頭を開けるというのは決心がつけられるかは難しいですね。

(伊藤)
そうですね。

(小高)
あと、先週に「30%ぐらいの確率で後遺症もなく社会復帰できる場合もあります」と教えていただきましたね。先週にお便りをいただいた方なんかはそのパターンで、何もなくて元気になりましたっていうお話でしたけれど、やっぱりリハビリとかをしないとダメなんですか?

(伊藤)
どういう後遺症が出るかというのは人それぞれではあるんですけれど、それこそ来た時からちょっと頭が痛いだけでもリハビリは必要ないという人も中にはいます。ただ、くも膜下出血で多いのは『高次脳機能障害』といって、簡単にいうと認知症のような症状が出る障害です。例えば細かい計算が出来なくなっちゃったり、複雑に考えられなかったりとかですね。くも膜下出血の場合はそういう症状が目立つことが多いです。

(つボイ)
そういう症状にもリハビリはあるんですか?

(伊藤)
はい、あります。なかなか完全に元通りというわけにはいかない場合もありますけれど、計算のトレーニングをしたりとかしています。

(小高)
そうやって聞くと、何度でも言いますが『予防に努める』のが一番良いということなんですよね。ということで、今日は先生に『くも膜下出血の治療法』について伺いました。来週もまたお話を伺います。よろしくお願いいたします。

(伊藤)
よろしく願いします。

(小高)
一宮西病院の伊藤圭佑先生にお話しを伺いました。ありがとうございました。『健康のつボ~脳卒中について~』でした。


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