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第5回 脳梗塞とは③~血栓回収療法


小高 水曜日のこのコーナーは「健康のつボ~脳卒中について~」。がん・心臓病と並んで日本人の死因の上位に挙げられる脳卒中について、専門の先生にお話を伺っています。ゲストは一宮西病院 脳神経外科医長の伊藤圭佑先生です。よろしくお願いします。

伊藤 よろしくお願いします。

つボイ さぁ、小高さんが先週「どうやってやるんや」と色々疑問ばっかりやった…。

小高 そうそうそう。脳卒中の中の脳梗塞の、今注目されている治療法が“血栓回収療法”。血栓を回収する治療法なんですが…。

つボイ 多分、頭の中の血管に詰まった血栓を回収するんですよね?

伊藤 そうですね。乱暴に言えば詰まっている血栓を“引っこ抜いてくる”んですが。

小高 ポンっ!って感じですか?

つボイ 音はせんよ、そんな栓を抜くわけじゃないんだから。

小高 そういう簡単なもんじゃないか。非常に難しいんだけどとても有効と言われているそうなんですが、どうやって血栓を取っているんですか?

伊藤 カテーテルを使うんですけど、多いのは鼠径部(足の付け根)のところからカテーテルを入れて、まず頭の中で詰まっている血栓のところまでカテーテルを持っていきます。そこから血栓を取り除く器械・ステントレトリーバー(ステント)と呼ばれる金属の網を使います。ステントは元々は狭くなった血管とか心筋梗塞とかで使う器械なんですけれど、それを応用して、網のところに血栓を絡めてそのステントごと血栓を引っこ抜いてきます。

つボイ 鼠径部は足の付け根のところですよね。よく私も車を運転していて道に迷うことがあって、右に行かないかんところを左に行ったりとかしちゃうんですが、血管の中で道に迷うことはないですか?

伊藤 迷うことはないですけれど、でも血管は枝分かれしていますから、違う方に入っていっちゃったりして修正することはあります。

小高 さっき血栓回収療法を、いまとても注目されている治療法と言いましたけれど、ただ、脳梗塞のどれをとっても「この血栓回収療法でやればいいんだ」っていうものではないんですよね?

伊藤 そうですね。例えば、そもそも我々が手を出せないような細い血管が詰まっちゃった場合とかはお薬での治療になります。逆に、この血栓回収療法というのは太い血管が対象となってくるので、太い血管が詰まるというのはそれだけ重症ということですから、より重症の脳卒中脳梗塞の患者さんに対しても適用になってきます。

小高 これは、いつ頃から日本でおこなわれているんですか?

伊藤 日本でこの器械が正式に使えるようになったのは2013年です。それから色々器械も進歩して新しいものも出ているんですけど、ステントレトリーバーという器械は2013年から使えるようになっています。

つボイ 日本での普及具合はどうなんですか?

伊藤 まだまだですね。これは我々医者だけじゃなくて、学会も含めてなんとかこの治療を普及させようと今取り組んでいる最中で、一部のデータでは、欧米などのこの治療が進んでいるところに比べると日本での普及は4分の1くらいだといわれています。まずはやっぱりこの治療ができる施設がまだまだ限られているという課題があります。血管内治療の専門医というのがそんなに普及していないので、専門医がいる施設が限られているというのが普及できていない一つの要因です。

つボイ 早くこういう欧米に近づいて欲しいですよね。

小高 4分の1ということは、日本はいまの4倍の方が血栓回収療法によって助かる可能性があるということですよね。

伊藤 そうですね。まだまだ助けられる患者さんが隠れているということですね。

小高 先生の病院では、もうこの血栓回収療法はやっていますか?

伊藤 やっています。

つボイ 心強いね!

小高 うん。メスじゃなくってカテーテルでできるなんて! 先生、治療のときは「メスっ!」みたいに「カテーテルっ!」って言うんですか?

伊藤 言わないです(笑)。

つボイ カテーテルは手に渡されへんやろ。

伊藤 カテーテルは自分でやります。

小高 なるほど! 勉強になった!

つボイ そんな細かいことはいいんですよ。

小高 はい。先生にはまた来週も詳しく伺っていきたいと思います。

伊藤 よろしくお願いします。

小高 よろしくお願いいたします。ありがとうございました、一宮西病院の伊藤圭佑先生でした。


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