当院では手術麻酔は局所麻酔で行われる比較的小さな手術を除き、ほとんどすべての患者様の麻酔を麻酔科医が担当しています。手術中は日本麻酔科学会認定の麻酔科専門医が患者様の状態を安全に管理しており、痛みを感じないのはもちろんのこと、手術後にも極力痛みがないように十分に検討しています。手術後に痛みのある場合には患者様と相談し、様々な対策をご提案させていだきます。心臓手術を始めとする大手術においては、まれに大量出血による低血圧や肺の機能が低下するなどの予期せぬ事態が起こることがあります。その際にも執刀医と麻酔科医が協力し、迅速に対応します。術後の状態が不安定な場合には集中治療室（ICU）で引き続き麻酔科医が管理いたします。たとえ大手術であっても患者様の術中・術後の安全性を保つことを主眼においています。また緊急手術に関しては、患者様にできるだけ早くかつ安全に手術を受けていただけることを最優先に考えています。24時間365日、常に麻酔科医が院内に控えており麻酔科医がいないという理由で緊急手術ができないまたは遅れるということはありません。我々麻酔科医は、手術を受けられる患者樣が抱えている不安に対して、「痛みの軽減」と「確実な安全性」という面から少しでも軽減できればと考えています。患者様が1日でも早く、日常生活に復帰されることを目指しています。

ICUとは「内科系、外科系を問わず、呼吸、循環、代謝その他の重篤な急性機能不全の患者を収容し、強力かつ集中的に治療を行うことにより、その効果を期待する部門」と定義されています。ICUの運営形態には、大きく分けてOpen systemとClosed systemがあります。Open systemとはいわゆる各科管理のICUであり、ICU入室後も引き続き主治医がそのまま重症患者管理も行う運営形態です。しかしながら、各科主治医は外来・病棟・手術と多忙を極め、ICUの患者さまの治療にのみ専従することは不可能であります。したがって刻々と状態が変化するような重症患者さまの状態に合わせた、きめの細かい管理には限界があります。さらに、主治医の守備範囲を超えた多臓器不全の症例では治療成績を上げることが困難になります。Closed systemとは、ICU入室後はすべて専従の集中治療医の管理下に置かれ、各科主治医と綿密な連絡をとりながら、24時間365日つねに集中治療医が患者さまのそばに寄り添って、きめ細やかな治療（滴定治療）を行っていく運営形態です。当院ICUはclosed systemのgeneral ICUであり、24時間365日、ICU内につねに専従の集中治療医が常駐しております。そして、内科系疾患、外科系疾患、年齢、性別を問わず、院外・院内・手術後のすべての場所から重症患者さまを収容しています。専従の集中治療医主導のもと、各科主治医と綿密な連絡をとり、また、ときに必要ならばすべての専門科の医師と協力しながら、重症患者さまの救命を目指しています。さらに当院ICUでは、医師だけではなく病院内の多くの部門（臨床工学技士・理学療法士・薬剤師・検査部門・放射線部門）の協力体制も確立され、毎朝8時30分から単純レントゲン・血液検査の結果をもとに、集中治療医・各科医師・看護師・臨床工学技士・理学療法士によるカンファレンスを行い、多くの専門家の意見を集約して日々の診療を行っております。治療については、様々な人工臓器を用いた不全臓器管理、病態に合わせた血液浄化療法、早期からの適切な栄養管理、急性期からの積極的な呼吸リハビリテーションなどを行い、重症患者さまの救命を目指しています。