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がんの中で死亡数トップ!一方で治療法も目覚しく進歩!いまこそ知っておくべき肺がんの5つのこと


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肺がんの5つのこと

呼吸器内科 副部長
竹下 正文(たけしたまさふみ)
【主な資格】日本内科学会 認定医・総合内科専門医、日本呼吸器学会 専門医・指導医、日本呼吸器内視鏡学会 専門医・指導医、がん治療認定医、医学博士
【得意分野】 肺がん


年間の罹患数は11万人以上、患者数は年々増加傾向にあり、死亡数も高い「肺がん」。しかし近年は治療法、特に薬物治療は著しい進歩を遂げています。肺がんの自覚症状やステージごとの治療法、日頃から意識すべき予防について、呼吸器内科・竹下正文医師が解説します。

1. 肺がんとは?

肺は、空気の通り道となっている気管、気管支と、酸素と二酸化炭素のガス交換をおこなう場所である肺胞からなりたっています(図表1)。その気管・気管支・肺胞の正常な細胞が、何らかの原因(例えば遺伝子の傷など)でがん化したものが「肺がん」です。正常な細胞はいつか分裂が止まるものですが、がん細胞は増殖能力が強く、周囲の組織に浸潤しながら増殖して、血管やリンパ管に乗って広がっていく(転移する)性質も持っています。
肺がんの罹患数は11万4678人(2015年)と、全てのがんの中でも3番目に多く、年々数が増えているがんでもあります。肺がんで亡くなる方は年間約7万5000人で、全てのがんの中でも圧倒的に多いです。発生原因で見てみると、肺そのものにできる「原発性肺がん」、大腸がんや乳がんから転移した「転移性肺がん」の二つに分かれます。発生部位で見てみると、気管から気管支へ繋がるところに発生する「肺門部肺がん」、肺の末梢に発生する「末梢型肺がん」があります。ですがこれ以外に一番大切な分類が、がん細胞の種類による分類です。大きくは、「腺がん」「扁平上皮(へんぺいじょうひ)がん」「大細胞がん」「小細胞がん」の4種類に分けられます。どの種類の肺がんなのかを細胞レベルでしっかり調べることで、その後の治療方針が決まります。

2. 肺がんの自覚症状は?

末梢にできる肺がんは、実はほとんど症状がありません。症状が出現する時というのは、ある程度進行した後というケースが多いです。具体的には、咳、たん、血痰、息苦しさ、胸痛、気管支が腫瘍による狭窄で細くなると呼吸の音がぜいぜいと雑音を出す喘鳴(ぜんめい)などが症状として出現してきます。しかしこの段階では手術が難しい場合もあり、すでに他の部位へ転移していることもあります。肺がんは呼吸器症状だけでなく、転移した部位の症状(図表2)が先に出現して発見されることもあります。

3. 早期発見のためには?

早期発見し適切な治療を受けるために必要なことは、40歳以上の方であれば男女問わず、まずは年に1回は検診を受けることです。肺がん検診は、問診やレントゲン撮影(対象は全員)、喀痰細胞診(対象は50歳以上の喫煙者で条件にあてはまる人)を組み合わせて行います。また呼吸器症状が続く時は、かかりつけの医療機関に相談すれば、早期発見につながるかもしれません。もしレントゲンで異常が見つかればCT撮影、さらにCT撮影でがんが疑われれば転移の有無を調べるためにPETによる全身検査、合わせて脳のMRI検査も行います。

4. もし肺がんになったら?

肺がんが見つかったら、がん細胞の種類や広がり(ステージ)を調べて治療方針を決めていきます。治療方針はステージによって変わってきます。肺にがんがありリンパ節転移がない場合(Ⅰ期)や、がんと同じ側にのみリンパ節転移がある場合(Ⅱ期)は、根治を目指した外科的治療、もしくは年齢・本人希望・合併症などに鑑みて放射線治療を行います。肺にあるがんが周りの組織に浸潤したり、肺と同じ側だけでなく真ん中(縦隔)のリンパ節まで広がったりする場合(Ⅲ期)は、手術・放射線治療・抗がん剤治療を組み合わせた治療となります。血液の中にがん細胞が入り他の部位に転移している状態(Ⅳ期)になると、薬物治療となります。

薬物治療は、他のがんに比べて肺がんが一番進歩しています。2000年代初頭は、肺がんと診断されて手術が出来ないとなると、すぐに「抗がん剤治療」となりました。しかし現在は「抗がん剤治療」に加え、「分子標的薬」、「免疫療法」の三本柱で治療ができるようになりました。分子標的薬は、がんの生存・増殖に関わる分子をターゲットにする治療です。非常に効果が高く副作用も軽く、近年著しい進歩を遂げている治療です。免疫療法は“オプジーボ”というお薬でも話題になった治療で、一部の方には非常に効果が期待できます。三本柱の治療を行っていく上で、その患者さんにどのお薬が効果的なのかを、診断に使用したがん細胞で調べてから治療を進めていく…というのが、薬物治療の現状です。

5. 肺がんにならないためには?

肺がんに限って言えば、とにかく喫煙です。肺気腫や慢性閉塞性肺疾患、間質性肺炎なども肺がんになりやすいと言われていますが、それでも一番の危険因子は煙草です。喫煙習慣のある人は、それがない人と比較して、男性で4~5倍、女性で2~3倍、肺がんになりやすいと言われています。煙草をやめたとしても、20年経たないと普通の人と同等のリスクに戻らないとも言われています。電子タバコや非燃焼・加熱式タバコも呼吸器学会としては勧めていません。また肺がんに限らず、過度なアルコール摂取を控えること、バランスの取れた食事や適切な運動をすることも大切です。

最後にメッセージ

予防という観点で言うと「禁煙」が一番大事です。肺がんと診断された方も、特に手術する場合、煙草は絶対にやめないといけません。抗がん剤治療においても、喫煙が影響する薬もあります。肺がんの治療、特に薬物治療は著しく進歩しています。治療の選択肢も増えましたし、呼吸器内科医としてやれることはあると信じています。少しでも皆さんのお手伝いができればと思って、頑張って治療していきます。