検査から早期がん治療・ESDまで! 消化器内視鏡 3つのチカラ

「鼻からの内視鏡」は、体にやさしい検査。
早期発見・早期治療で胃がんと対峙しましょう。
早期発見・早期治療で胃がんと対峙しましょう。
内視鏡(胃カメラ)といえば“細いカメラを身体の中に入れて、胃や腸の映像をモニターで映し出す”…多くの人がこのようなイメージかと思います。でも、本当の目的は何? 身体の中の“何か”を調べるだけ? 今回は一宮西病院 副院長 / 内科統括部長である森 昭裕医師に、消化器内視鏡の本来の目的、その真価についてお話ししていただきました。
※本ページに掲載されている情報は、2018年2月時点のものです。
プロフィール
2. 負担の少ない経鼻内視鏡
内視鏡(胃カメラ)といえば口から入れるものですよね? ちょっと抵抗があるのですが…
従来の内視鏡は口から入れるため「苦しいから嫌だ」という人も多いと思いますが、今は苦痛が少なく、検査中に医師との会話も可能な鼻から入れる内視鏡、“経鼻内視鏡”があります。この経鼻内視鏡は口から入れるものよりも細く、直径はおよそ5~6ミリです。鼻から入れるため嘔吐反射も少なく、身体への負担が少ない内視鏡です。
経鼻内視鏡検査は本当にラクなのですか?
口から入れる内視鏡を使った場合と経鼻内視鏡の場合で、患者さんの身体への負担がどれくらい違うのかを調べてみました。その結果、口から入れた時は、ストレスがかかると活発になる交感神経の刺激が強く、血圧の変化も高かったのですが、経鼻内視鏡の時はこの変化が明らかに緩やかでした。客観的に見ても、経鼻内視鏡による検査は身体への負担が少ない検査だといえます。
2010年にはこの研究で“世界消化器内視鏡学会研究賞”を受賞しました。これにより「経鼻内視鏡は苦痛が少ない」というお墨付きを、世界的学会からもいただいたということになります。また、経鼻内視鏡でやっても苦しいという人は、大抵、麻酔が不十分な状態でやった方だと思います。私は麻酔を適切に塗れるように、専用チューブを開発しました。そういうものを使って麻酔を行えば、限りなく身体へのストレスを減らすことが出来ます。“経鼻内視鏡だからラク”なのではなくて、“やる側がどこまで適切にやるかが大事”なのです。
経鼻内視鏡検査は胃の動きを止める筋肉注射や、意識を無くす注射も必要なく、車の運転など検査当日の行動も制限されません。お仕事中やご高齢の方にもお勧めできます。
また、経鼻内視鏡は細いので画質が悪く、早期病変を見落とすことがあると心配される方もおられますが、それは誤解です。最近の経鼻内視鏡の画像の進歩はめざましく、新しいレーザー光を利用した種々の特殊光で、通常の経口内視鏡と全く変わらない、又はそれ以上の病変検出能力を有しております。
経鼻内視鏡で内視鏡検査の敷居を下げ、多くの方に内視鏡検査を受けていただければ、おのずと早期のがんを発見できる確率も高くなります。
2010年にはこの研究で“世界消化器内視鏡学会研究賞”を受賞しました。これにより「経鼻内視鏡は苦痛が少ない」というお墨付きを、世界的学会からもいただいたということになります。また、経鼻内視鏡でやっても苦しいという人は、大抵、麻酔が不十分な状態でやった方だと思います。私は麻酔を適切に塗れるように、専用チューブを開発しました。そういうものを使って麻酔を行えば、限りなく身体へのストレスを減らすことが出来ます。“経鼻内視鏡だからラク”なのではなくて、“やる側がどこまで適切にやるかが大事”なのです。
経鼻内視鏡検査は胃の動きを止める筋肉注射や、意識を無くす注射も必要なく、車の運転など検査当日の行動も制限されません。お仕事中やご高齢の方にもお勧めできます。
また、経鼻内視鏡は細いので画質が悪く、早期病変を見落とすことがあると心配される方もおられますが、それは誤解です。最近の経鼻内視鏡の画像の進歩はめざましく、新しいレーザー光を利用した種々の特殊光で、通常の経口内視鏡と全く変わらない、又はそれ以上の病変検出能力を有しております。
経鼻内視鏡で内視鏡検査の敷居を下げ、多くの方に内視鏡検査を受けていただければ、おのずと早期のがんを発見できる確率も高くなります。
3. ここまでできる! 内視鏡によるがん治療ESD
万が一、ガンが見つかったら…?
必ずしも外科的手術になるとは限りません。“ESD(粘膜下層切開剥離術)”という、早期がん治療に有効な、身体的負担の少ない内視鏡治療があります(※経口内視鏡/静脈麻酔下で行う治療です)。ESDは、病変に応じて切除する範囲をあらかじめ決め、その周りを正確に切開し、剥離・切除する治療です。病変が深いもの(胃の内面の粘膜表面から外側の壁へ進行したがん)でなければ、どれだけ広い病変であっても一括切除が可能です。当院でも直径13cmの胃がんや、9cmの直腸がんの切除経験があります。以下のような手順で治療をします。

最後にメッセージ
当院では、メディカルサポートセンターでピロリ菌および慢性胃炎の有無を血液検査で調べることができる「胃がんリスク判定(ABC検診)」をおこなっています。ピロリ菌感染、または慢性胃炎のどちらかが認められれば、早期胃がん発見のために内視鏡検査を受けなければなりませんが、お話しした通り、経鼻内視鏡であれば検査は苦しくはありません。なによりもまずは検査が大切です。早期発見、早期治療で胃がんと対峙しましょう!


