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これだけは知っておきたい!乳がんに関する5つの疑問


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乳がんに関する5つの疑問

乳腺・内分泌外科部長
石黒 清介(いしぐろ きよすけ)
「日本乳癌学会 乳腺専門医」の資格を有し、整容性(術後のかたち)も重視し、患者さんのQOL(生活の質)に繋げることをモットーに掲げる「乳がん治療のスペシャリスト」です。

1. 「乳がん」とはそもそもどんな病気ですか?

「乳がん」とはそもそもどんな病気ですか?

乳房にできる悪性腫瘍のことです。乳房は乳腺と脂肪からできていますが、その乳腺を構成する「乳管(母乳を乳頭まで運ぶ管)」で多く発生します。乳房の変化に気付かないままでいると、がん細胞が乳腺の外へ広がり、転移する危険もあります。

2. どんな人がなりやすいのですか?予防法はありますか?

どんな人がなりやすいのですか?予防法はありますか?

乳がんの発生や進行には、女性ホルモンの「エストロゲン」が関係しています。これは月経の終わりごろから排卵前に多く分泌されます。初潮年齢が早い、閉経が遅い、出産経験がないなど、エストロゲンにさらされる期間が長い人は、それだけ乳がんになりやすいと言えます。これといった明確な予防は残念ながらありませんが、他の疾患と同じように、生活習慣が荒れると危険が増すと言えるのではないでしょうか。健康維持の点からも、カロリーコントロールや適度な運動を心掛けることも大切です。

3. 乳がんの早期発見のために大切なことはなんですか?

まず大切なのは「自己触診」です。実際に、当院の乳がん患者さんの6割以上が自己触診で乳がんに気づいています。月に1度でいいので左右の胸を満遍なく触って、「乳房にしこりがないか」「乳頭から異常分泌がないか」などをチェックするのがよいでしょう。
また、40歳以上の方には住民検診として「マンモグラフィー検査」が行われています。マンモグラフィー検査で日本人の乳がん死亡率が下がったというデータもあります。しかし注意しなくてはいけないのは、マンモグラフィー検査ではがんがわかりにくい場合もあるということです。特に40歳未満の若い方だとその傾向が高くなります。マンモグラフィーではがんは白く映るのですが、濃度の高い乳腺も白く映ります。若い方はご年配の方と違って乳腺の濃度が高いため、異常がわかりにくくなるのです。乳がんと診断された患者さんの約10%が、マンモグラフィーに映っていませんでした。他にも放射線を使わない超音波検査もあります。妊婦の方には安心な検査ですが、今はまだその有効性の検証をしている段階です。
定期的な自己触診と年齢に応じた検査で、乳がんの早期発見を意識しましょう。

発見動機

全生存率

4. もし乳がんと診断されたら、手術をしなくてはいけませんか?

手術は治療のひとつです。手術で取りきってしまえば治るがんもありますが、小さくても他に転移しているがんもあります。そういうがんは手術後の治療が大切です。でも最近では、“術後の補助療法として化学療法を行うなら、術前からやっておこう”という考えもあります。術前の薬で完全に消えてしまうようながんは、とても予後が良いといわれています。でも、まだまだ薬だけで治すことは難しいので、手術で病変を取り出し、その性質を調べ治療方針を決めていくというのが一般的です。

5. 乳房再建という言葉をよく聞きますが、具体的にはどういうものでしょうか?

まず、乳房を残しながらがんを切除する手術を「乳房温存手術」と言います。1990年代から温存療法が始まりました。術後のQOL(生活の質)を保つためにもこの手術方法は増えていますが、必ずしも温存すれば良いというわけではないと思います。がんの広がりにより温存に向いているか否かを判断します。
温存療法が出来ない(乳房を切除しなくてはいけない)ような乳がんの場合に行うのが、乳房再建です。ご自身の体の一部(腹直筋や広背筋)を用いる方法と、人工物を用いる方法とありますが、いずれも保険が適用されます。若い患者さんの場合は、この選択肢は良いかもしれません。

最後にメッセージ

がんは早期に発見できれば治療できる病気です。乳がんでは整容性も重視し、QOL(生活の質)を高く保つための手術を行い、一人でも多くの方を助けられるよう努めていきたいと考えます。