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一宮西病院・脳神経内科のご紹介

●当科の目標、理念について

山口啓二

当科の第一の目標は、診療レベルが高く、かつ患者満足度の高いオーダーメード医療を提供することです。最新の医学知識と医療技術を取り入れ、ソフトとハードの両面において実臨床レベルで最良な医療を提供できる体制を整えたうえで、診察と対話を通じて患者さんの病状やニーズを汲み取り、一人一人に最善の医療を提供できるよう努めたいと考えております。

第二の目標は、地域における脳神経内科疾患の診療レベルの向上に貢献することです。脳神経内科は、神経難病や稀な病気を扱う特殊な科というイメージがありますが、実際には、脳卒中、認知症、頭痛といった非常にコモンな疾患の診療も担当します。脳神経内科医の需要は非常に多いのですが、難解かつ治らないといったイメージがあり脳神経内科臨床医が極度に不足しており、本来果たすべき役割を果たせていないのが現状です。このような状況下で神経疾患の患者さんに、一定レベル以上の診療を受けていただくには、地域の医療機関の先生方との密な協力が不可欠です。専門医が見るべき疾患は専門医のもとにご紹介いただき、一方、安定した状態の患者さんは地域の先生方に逆紹介させていただく必要があります。紹介後も専門医との連携を維持していただきますが、紹介させていただきました先生方に安心して診ていただけるように、神経疾患に関する勉強会を積極的に行い、質の高い連携を築きたいと考えております。

第三の目標は、臨床を通じた医学への貢献です。かつて脳神経内科医は、「脳神経内科学には診断学はあっても治療学はない」などと揶揄されることが多く、つらい時代を経てきました。最近の脳神経内科領域の治療の進歩は目覚ましく、脳梗塞に対する超急性期の血栓溶解療法、新規経口抗凝固薬による心原性脳塞栓症の予防、片頭痛に対するトリプタンの導入、アルツハイマー病に対する認知症進行抑制薬、パーキンソン病に対する脳深部刺激療法や持続注入ポンプなどのデバイス補助療法、脳卒中後遺症の痙縮に対するボツリヌス治療やバクロフェン髄注療法(ITB療法)、免疫性神経疾患に対する免疫グロブリン療法など、ここ十数年の間にめざましい進歩がありました。さらにより根本的な治療をめざし、再生医学や遺伝子治療の研究が進められており、さほど遠くない将来、実臨床において応用可能になると予想されております。当院では基礎的研究は困難ですが、大学との連携を維持し、臨床医にしかできない臨床研究を行い、医学の進歩に貢献できるよう努める所存です。

●診療体制について

当院の脳神経内科は従来、非常勤の先生方による外来診療のみでしたが、平成24年11月1日から山口医師が神経内科部長として着任し、常勤医による診療が開始されました。平成27年4月に深見医師、岡田医師が加わり常勤医3名体制となり、月曜日から土曜日まで毎日外来診療が行えるようになり、入院診療も大幅に強化されました。平成28年8月には脳神経外科医と協力してストロークチームを結成し、24時間365日、tPA、血栓回収療法、緊急手術といった脳卒中救急診療が可能な体制を構築しました。平成29年4月には深見医師が名古屋大学の神経内科に出向しましたが、新たに金井医師、中井医師が加わりました。平成30年には水井医師、平成31年には喜多医師、岡野医師が加わり常勤医7名体制となっております。
常勤医師 7名
非常勤医師 2名
日本神経学会専門医 常勤 3名
非常勤 2名
後期研修医 4名
※2020年7月現在
*新専門医制度における「日本神経学会教育施設」に認定されました。(2020年4月)
*東海地方で5つ目、愛知県内で3つ目の「日本頭痛学会認定教育施設」になりました。(2017年11月)

●業務内容・実績について

外来診療については紹介の有無、予約の有無にかかわらず午前中であれば脳神経内科の外来で診察を行っております。時間外、夜間休日については当番医が対応し、必要性があると判断すれば当科の医師がコンサルトに応じることとなっております。脳卒中のホットライン対応については当科と脳神経外科の医師で構成されるストロークチームがいつでも対応しており、主として虚血は脳神経内科、出血は脳神経外科が入院担当しております。

平成28年度の当科の診療実績は、初診2149名、紹介1053名、救急搬送件数は544件、入院患者数は725名まで増加してきており、平成29年度は1000名程度になる見込みです。多くの新患患者をいつでも診る体制を維持するために、地域連携を強化して積極的に逆紹介を行っており(年間600~800件)、緊急性、専門性の高い医療に集中できる体制を維持できるよう心掛けております。入院診療の内訳については、脳卒中が最も多く平成28年は323名でしたが、その他、てんかん、神経免疫疾患、神経変性疾患など、様々な神経疾患を受け入れております。
平成28年10月から医療用HALを用いた歩行訓練を開始しましたが、保険適応の神経難病8疾患のみならず、急性期脳卒中を含む様々な神経疾患にも治療を試みており、初年度は1年間で80例、計900セッションを行いました。急性期脳卒中については前向き研究で4週間のHAL治療を行い、これまでに22例が終了しておりますが、一例も重篤な有害事象は生じておらず、歩行速度は平均で2.2倍に増加しております。その他の神経疾患では基本的に9回のセッションを行い治療の前後で評価しておりますが、全体の奏効率は約8割、歩行速度、歩行距離は平均で3~4割の改善が認められております。

また、平成28年9月に潜因性脳梗塞症例のAFの診断目的でRevealLINQの保険適応が認められたことから、当院では脳卒中学会の指針に従い植込みを開始しておりますが、半年間で挿入した14例中9例(64%)と極めて高率に発作性心房細動が検出されております。平成29年3月からはESUS症例全例を対象に1週間の持続的心電図監視を行うプロトコールに改め、6月からは原則としてDurantaを活用した心電図監視を行っておりますが、これまでに90例ほど監視して、およそ15%に心房細動が検出されております。平成29年11月からは脳梗塞全例を対象として、Durantaによる一週間の心電図監視を行い、ESUSと非ESUSでAFの検出率が異なるかどうかの検証を始めております。大規模臨床試験については、CSPS.com,Strawberry研究などに協力しておりますが、特にCSPS.com研究では60例の症例を登録し全国一の実績となっております。臨床研究、学会発表、論文作成などの学術的貢献、講演会活動などによる啓蒙活動についても可能な限り努力しております(別項参照)。

●脳卒中(ストローク)チームについて

脳卒中チームといえば、脳神経外科医だけで構成されている病院が多いかもしれませんが、当チームは、あえて脳神経外科と脳神経内科の両科で構成しています。互いに長所を生かして助け合うことで、より高いパフォーマンスを発揮できると考えているからです。

我々脳神経内科医は手術できないので、くも膜下出血などの疾患を担当することはできず、すべての脳卒中を診療することはできないという弱点があります。一方、脳神経外科医は手術による救命といった神経内科にできない能力をもっており、あらゆる脳卒中を診療できますので、脳神経外科医だけで脳卒中チームを組むことは可能です。しかし、もしもすべての脳卒中を脳神経外科医だけで診療すれば、当院のような少人数の施設では救命対応のための拘束が大きくなり、医師の健康上、さらには医療安全上の観点からも好ましくありません。一方、大人数の施設になると一人あたりの手術件数が少なくなるという問題点があり、スキルアップの観点からは好ましくなく、向上心のある若手外科医にとってはやりがいのないものとなります。外科医は手技を通じて人を救う仕事ですので、裏返してみると手術以外のモティベーションは相対的に低くなるのはやむをえませんので、いずれにしても非手術症例の比率が高いのは好ましくはないでしょうね。

手術の必要がない症例では、予防と全身管理が中心ですが、それならば、むしろ内科医の方が圧倒的に有利です。内科医は内科全般の研修を受けており、全身管理については優位にある上に、緊急オペなどで病棟を離れなければならない状況にはなりにくく、こまめに病棟をチェックし迅速に変化に対応ができます。従って、診療の意志さえあれば、手術の必要のない脳卒中は脳神経内科が担当する方がよいと考えております。そして、脳卒中の4分の3程度は脳梗塞ですので、むしろ手術にならない脳卒中の方が多いので、脳神経内科医の脳卒中診療における貢献の余地は大きいのです。

そして、当院の脳神経内科医は、「脳卒中との戦いは戦わずして勝つという」、という意識を持ち、一次予防、二次予防に対する高い志を持って診療に取り組んでおり、CSPS.com研究の登録症例数や潜因性脳梗塞に対するループレコーダー挿入数では全国一の実績のようですし、365日体制でtPAなどの救急対応も行ってきましたので、診療の足を引っ張るようなことはないと自負しております。こういった経緯で、当院の脳神経内科が脳卒中チームに加わっているわけです。