グローバルナビゲーションへ

本文へ

ローカルナビゲーションへ

フッターへ


大腸がん


このページをシェア
日本における大腸がんは増加の一途をたどっており、
がんによる死亡原因では男性で第3位、女性では第1位となっています。

大腸がんとは

部位別がん罹患数(2021年)
出典: 厚生労働省「全国がん登録 罹患数・率 報告 2021
部位別がん死亡数(2023年)
出典: 厚生労働省「2023年人口動態統計(確定数)
大腸がん(Colon Cancer)とは大腸に発生する悪性腫瘍の総称で、大きく結腸がんと直腸がんに分けられます。日本人では直腸とS状結腸にがんができやすいといわれており、直腸とS状結腸を合わせると全体の半数以上を占めています※1。近年、日本では食生活の欧米化や高齢化にともない、大腸がんの患者数は増加の一途をたどっており、悪性新生物による死亡原因では男性で2位、女性では1位※2となっています。
大腸がんの発生パターンは、腺腫(良性の大腸ポリープ)ががん化する場合、粘膜上に直接がんが生じる場合、慢性的な炎症からがんが発生する場合などがあります。

初期の段階では自覚症状が乏しいことが多いものの、早期に発見できれば内視鏡による切除で治癒が期待できるケースもあります。そのため、検診で見つけることが最も重要になります。

大腸とは

大腸は、小腸と肛門をつなぐ長さ約1~1.5mの臓器で、結腸(盲腸、上行結腸、横行結腸、下行結腸、S状結腸)と直腸に分かれており、小腸を取り囲むように配置されています。主な役割は、消化・吸収を終えた食べ物から水分やナトリウムを吸収し、便を形成することです。また、大腸には大腸菌や乳酸菌など100種類以上の細菌が住み、食物繊維をエネルギー源として分解したり、感染予防の役割を担ったりしています。
大腸がんの部位別発生頻度
出典: 国立研究開発法人 国立がん研究センター中央病院 消化管内科, 朴 成和: 国がん中央病院 がん攻略シリーズ 最先端治療 大腸がん,13, 法研, 2018.

大腸がんの症状

根治できるような初期の大腸がんは症状がほとんどありませんが、進行すると腸の内腔が狭くなり便秘や下痢が出現します。また、便に血液が混じる(血便)、便が細くなる、貧血、腹痛、体重が減る、お腹にしこりができるなどの症状が出現してくるようであれば要注意です。さらに進行すると、腸閉塞や腸に穴が開く消化管穿孔を引き起こし、緊急手術となることもあります。

「便に血が混じる」「便通の変化が続く」場合は、痔などと自己判断せず、医療機関を受診することが大切です。

大腸がんの原因

原因はほかのがんと同様に、食事(野菜を食べない+赤身肉(牛、豚、羊、馬、ヤギ)や加工肉(ベーコン、ハム、ソーセージなど)をよく食べる)や運動不足などの生活習慣だと考えられており、中でも飲酒や過度な喫煙、肥満はリスクを上げる大きな要因です。
初回検査の所見に基づく 5.5年以内の進行性腫瘍のリスク比
初回検査時の所見 発生頻度
非腫瘍性ポリープ 1.00
腺腫性ポリープ
10mm以下 2.56
1〜2個 1.92
3個以上 5.01
10mm以下 6.40
絨毛状腺腫 6.05
粘膜内がん 6.87
浸潤がん 13.56
*非腫瘍性ポリープ=腫瘍性ではない(=がん化リスクが低い)ポリープ。
出典: Lieverman DA, Weiss DG, Harford WV, et al. Five-year colon surveillance after screening colonoscopy. Gastroenterology 2007;133:1077-1085
また、過去に大腸ポリープが見つかったことがある方は、大腸がんを発症するリスクが高いことが知られています。ポリープは一度切除しても再発することがあり、また大腸の細胞が異常を起こしやすい体質や生活習慣も影響します。特に大腸ポリープの中でも腫瘍性のもの(腺腫)は、時間の経過とともにがんに進行することがあるため、ポリープの段階で適切に切除することが大腸がんの予防につながります。
大腸がんにおける家族歴(親等別)と発症年齢別リスク
近親度 大腸がんの発症年齢 大腸がんのリスク
第1度近親者
(親子、兄弟・姉妹)
50歳未満 6
全年齢 2.64
第2度近親者
(おじ・おば、甥、祖父母、孫)
50歳未満 3.09
全年齢 1.96
第3度近親者
(いとこ、曾祖父母、曾孫)
50歳未満 1.56
全年齢 1.3
出典1: Todd, B. (2021). Family history a risk for early-onset colorectal cancer. American Journal of Nursing, 121(12), 59.
出典2: Ochs-Balcom, H. M., et al. (2021). Early-onset colorectal cancer risk extends to second-degree relatives. Cancer Epidemiology, 73, 101973.
さらに遺伝との関連性も指摘されており、家族に大腸がんもしくは胃がん、子宮体がん、卵巣がんなどを患った方がいる場合には、がんになりやすい体質の可能性があり、注意が必要です。

検査方法について

確定診断

  • 病理検査

病期診断

  • 画像検査(CT検査・MRI検査など)

便潜血検査

便潜血検査の病変別感度
出典: Morikawa T et al. A compari-son of the immunochemical fecal occult blood testand total colonoscopy in the asymptomatic popu-lation. Gastroenterology. 2005 Aug;129(2):422-8.
便潜血検査(Fecal Occult Blood Test)は、健康診断やドックで大腸がんのスクリーニングを目的におこなわれる、安全・簡単・安価な検査です。大腸がんの表面はもろく出血しやすいという性質を利用して、便中に目に見えないような微量な血液が混入していないかを確認します。

がんからの出血はするときもあればしないときもあるなど間欠的なため、2日間の便を採取する2日法でおこないます。ただし、便潜血検査の感度(大腸がんが便潜血検査で陽性となる割合)は約70~80%で、大腸がんを患っていても3分の1は陰性と判定されることがあり、必ず陽性となるわけではありません。また、大腸がん以外の原因(痔核など)でも陽性となることがあります。ですが、スクリーニングの目的は大腸がんの早期発見ですので、便潜血検査が一度でも陽性となった場合は、大腸内視鏡検査などの二次検診(精密検査)を受けることをおすすめします。
検診発見可能点
症状発現点
5〜7年
便潜血陽性者の精密検査受診率は約70%とやや低く、実際に精密検査を受けた方の中で大腸がんが発見される確率は約4%です。多くの大腸がんは、5〜7年かけて腺腫(良性の大腸ポリープ)からゆっくりと発育増大し、進行したがんになります。そのため、毎年便潜血検査を受けていただければ、大腸がんを早期に発見できる確率が高まりますし、便潜血検査を毎年おこなうことで死亡率を約60〜80%低下させる効果があると報告されています。

※例外的に非常に短期間で大きくなる場合もあります。

二次検診(精密検査)について

長所 短所
大腸内視鏡
  • 組織検査や治療も可能
  • 平坦な病変、小さなポリープも見つけやすい
  • 内視鏡挿入時に苦痛を伴うことがある
  • 腸のヒダの裏側の病変は見つけにくい
  • 内視鏡で腸内を傷つける可能性がある
CTコロノグラフィー
  • 苦痛が少なく、検査時間も短い
  • 腹部全体を撮影するため、大腸以外の臓器の診断ができる
  • 腸のヒダの裏側まで確認できる
  • 組織検査や治療はできない
  • 平坦な病変や小さなポリープは検出しにくい
  • X線を使用するため、妊娠の可能性のある方は受けることができない
大腸カプセル内視鏡
  • 苦痛はほぼない
  • 恥ずかしくない
  • 保険診療でおこなうには条件がある
  • 組織検査や治療はできない
  • 小さなポリープは検出しにくい
  • 下剤の量が多い
  • 検査時間がかかる
  • 検査費用がかかる
大腸がんの発生パターンとして、良性のポリープ(腺腫)が大きくなる過程でがん化するといったものがあります。そのため、大腸ポリープを発見し治療することは、大腸がんのリスク低減につながるといえます。

便潜血検査で陽性となった場合、大腸がんや大腸ポリープを検査するために二次検診(精密検査)をおこなうことになります。二次検診には、主に大腸内視鏡検査CTコロノグラフィー(大腸CT)検査があり、2014年からは条件付きで大腸カプセル内視鏡検査が保険適用となりました。

大腸内視鏡検査

大腸内視鏡検査(Colonoscopy)は、肛門から直径12~13mmの内視鏡を挿入し、大腸の内部を調べる検査です。大腸粘膜をカメラで直接観察できるので、5mm以下の小さな病変も見つけやすいといった特長があります。ですが、前処置である腸の洗浄が十分でない場合には詳細な検査が難しくなる場合があるため、事前に2L程度の下剤を飲んでいただき、大腸をきれいにしてから検査をおこないます。

がんやポリープなどの病変が見つかった場合には、ズームアップして病変表面の模様を観察し、より詳細な診断をおこなったり、必要に応じて細胞の採取や病変の切除をおこなうこともできます。大腸がんの発見が早期であるほど内視鏡での切除が簡易になり、予後も安定します。

検査中の痛みは個人差が大きいですが、苦痛が強い場合には鎮痛剤や鎮静剤を使用することもあります。

CTコロノグラフィー(大腸CT)検査

CTコロノグラフィー(大腸CT)検査(CT Colonography)は前処置をおこなった後、肛門からチューブを挿入して、炭酸ガスを注入し大腸全体を十分に拡張させた状態でCT撮影をおこないます。CTで得られた画像から3Dの仮想内視鏡画像という、あたかも内視鏡検査をおこなったような画像を作成し、観察と診断をおこないます。5mm以下の小さなポリープや平坦なポリープは発見が難しいことがありますが、6mm以上の病変であれば、大腸内視鏡検査とほぼ同等の情報が得られるとされています。

画像診断のため、ポリープやがんが見つかっても生検や切除はできませんので、後日あらためて大腸内視鏡検査を受けていただくことになります。また、検査中は大腸が拡張することによりお腹の張りを感じることがあります。

大腸カプセル内視鏡検査

大腸カプセル内視鏡検査(Colon Capsule Endoscopy)は、超小型カメラを内蔵した約30mmのカプセル型の内視鏡を口から飲み込んでおこないます。カプセルは消化器官を通過しながら画像を撮影し、記録装置に転送された画像をもとに解析します。日本では、大腸内視鏡検査では内視鏡の挿入が困難な方や、内視鏡検査のリスクが非常に高い方に限って保険適用されています。

検査前には、大腸内視鏡検査と同様下剤を飲んで大腸をきれいにします。さらに、大腸カプセル内視鏡を飲んだ後にも、カプセル内視鏡の排出を促すために追加の下剤を飲む必要があります。

CTコロノグラフィー検査同様、画像診断のため、ポリープやがんが見つかっても生検や切除はできませんので、後日あらためて大腸内視鏡検査を受けていただくことになります。

腫瘍マーカー検査

大腸がんのステージ別腫瘍マーカー陽性率
出典: Yamashita K, Watanabe M. Clinical significance of tumor markers and an emerging perspective on colorectal cancer. Cancer Sci. 2009;100:195–199.
大腸がんの診断や経過観察に用いられる検査のひとつに、血液中の腫瘍マーカーを測定する腫瘍マーカー検査(Tumor Marker Test)があります。腫瘍マーカーとは、主にがん細胞によって作られる物質のことで、大腸がんでは主にCEA(がん胎児性抗原)(Carcinoembryonic Antigen)やCA19-9(Carbohydrate Antigen 19-9)が代表的です。血液を採取するだけで測定できるため、体への負担は非常に小さい検査です。

しかし、近年の臨床研究によると、腫瘍マーカーは大腸がんの早期発見にはほとんど意味がないとされています。初期の大腸がんでは腫瘍マーカーの値が上がらないことが多く、値が正常であってもがんが存在する可能性があります。そのため、早期発見を目的としたスクリーニングとしては信頼性が低く、血液検査だけで「大腸がんがない」と判断することはできません。

腫瘍マーカーは、手術後の再発の有無や進行がんの経過観察の参考として利用されることが多く、単独での検査では限界があります。そのため、大腸がんの早期発見には、便潜血検査や大腸内視鏡検査が現在の標準的な検査方法とされています。

大腸がんの進行度

大腸がんの進行度は、がんが大腸の壁のどの深さまで達しているか(深達度)(T因子)、リンパ節への転移の有無(N因子)、そして肝臓や肺などの離れた臓器への転移の有無(M因子)によって決まります。

Tis がんが粘膜内にとどまっている
T1 がんが粘膜下層にとどまっている
T2 がんが固有筋層に浸潤している
T3 がんが固有筋層を越えて浸潤している
T4a がんが漿膜を越えて浸潤している
T4b がんが大腸に接している臓器に浸潤している
深達度とは“がんの根の深さ”のことで、早期の大腸がんは粘膜内にとどまっていますが、進行すると筋肉の層や周囲の組織にまで広がることがあります。また、がんがリンパの流れに沿ってリンパ節に広がることをリンパ行性転移、血液の流れに沿って肝臓や肺などに広がることを血行性転移と呼びます。さらに、大腸の壁を破ってお腹の中に散らばるように転移する腹膜播種もあります。

ステージ0粘膜の中にとどまっている。

ステージI固有筋層(筋肉の層)までにとどまっている。

ステージII固有筋層を越えて周囲に広がっている。

ステージIII深達度に関係なく、リンパ節に転移している。

ステージIV肝臓や肺、腹膜など離れた臓器に転移している。

これらの状態を組み合わせて、大腸がんはステージ0からIVまでに分類されます。大腸がんの治療方針を考えるうえで、まずこの進行度を理解することが重要です。

治療について

大腸がんの治療は、がんの進行度(病期)や発生部位、患者さまの全身状態によって選択されます。主な治療法には、外科治療(手術)、内視鏡治療、薬物療法(化学療法)、放射線治療などがあります。

内視鏡治療

がんが粘膜内にとどまる早期の段階(ステージ0)では、内視鏡での切除が可能です。大腸内視鏡を用いて病変部を切除する方法で、体への負担が少なく、術後1週間程度で治療前と同じような日常生活を送ることができるなど、治療後の回復も早いのが特徴です。

術後数日から1週間ほどは消化の良い食事を心がけ、お酒は控えてください。 また、腹圧がかかるような動作や激しい運動も避けるようにしましょう。

切除された病変は病理検査をおこない、再発やリンパ節への転移の危険性がないかを確認します。その後、がんをしっかり取りきれたと判断された場合、特別な通院は必要ありません。おおよそ1年後に大腸内視鏡検査を受けて経過を確認し、異常(がんや新たなポリープなど)がなければ、その後は3年ごとの検査で経過観察をおこなうのが望ましいとされています。

外科治療(手術)

内視鏡での病変切除が難しい場合、がんの部位とあわせて、がんが広がっている可能性のある腸管とリンパ節もあわせて切除する手術がおこなわれます。手術後はリハビリテーション(ウォーキングやストレッチなど)をおこないながら、1〜2ヶ月ほどで日常生活に戻られる方が多くみられます。

外科手術の場合は、がんのステージや手術の内容によって、術後の経過観察の方法が異なります。手術後にがんが残っている可能性も完全には否定できませんので、定期的な検査を通じて慎重に経過を見守ることが大切です。具体的には、術後3ヶ月ごとの血液検査、半年ごとのCT検査で再発の有無を確認します。

また、近年では腹腔鏡下手術やロボット支援下手術など、体への負担を軽減する低侵襲手術も増えています。

大腸がん検診を受けない理由

大腸がん検診受診者における要精密検査の受診状況
(2022年度)
受診 70.4%(124,933人)このうちがんであった者 5,314人
未受診 (52,641人)
大腸がん検診「受けなかった人」の非受診理由
1 特に自覚症状もないから 26.1%
2 検査費用がかかるから 19.7%
3 内視鏡検査(大腸カメラ)をするのが嫌だから 18.1%
4 検査を受けるのがつらい、嫌だから 14.9%
5 健康診断や血液検査など、定期的に検査しているから 12.5%
6 検診の予約をするのが億劫だから 11.3%
7 検診に行く時間が取れないから 10.7%
8 身体に負担がかかりそうなイメージだから 8.8%
9 便潜血検査(検便)が面倒・嫌だから 8.4%
10 病気が見つかるのが怖いから 7.1%
11 市区町村、職場から検診案内がきた記憶がないから 3.7%
12 どの検診会場や医療機関で受けたら良いか分からないから 3.3%
13 検査方法が分からないから 3.1%
14 2022年度に検診/人間ドック等で検査したから 3.1%
15 コロナ禍以降、検査を受けるのが不安になったから 3.0%
16 家族や親族に大腸がん疾患者はいなく遺伝リスクも少ないから 2.7%
17 検診を受けても効果が期待できないから 2.1%
18 大腸の病気に関して自覚症状が有り、既に医療機関を受診しているから 1.0%
19 その他 3.2%
20 あてはまるものはない 20.8%

大腸がんの生存率と早期発見の重要性

大腸がんのステージ別 5年生存率
出典: 大腸癌研究会・全国登録 2008〜2013年症例
大腸がんは、早期に発見できれば高い確率で治癒が期待できるがんです。統計によると、ステージIで発見された場合の5年生存率は93.1%と非常に高いのに対し、ステージIV(転移がある場合)では26.7%まで低下します※3

大腸がんは比較的ゆっくり進行するため、定期的な検診による早期発見が極めて重要です。特に40歳を過ぎたら、年に一度は便潜血検査を受け、必要に応じて大腸内視鏡検査などの二次検診をおこなうことが推奨されます。早期の段階では自覚症状がほとんどないため、“症状がない=問題がない”ではないことを意識し、検診の機会を積極的に活用することが大切です。

大腸がんを予防するには

大腸がんを予防するために
  • 適度な運動を習慣づける
  • 野菜や果物など、食物繊維をしっかり摂る
  • 赤身肉や加工肉を食べすぎない
  • 喫煙を控える
  • 過度な飲酒を控える
    (多くても1日1合(ビール500ml)程度まで)
  • 定期的に検診を受ける
大腸がんを予防するためには、食生活と生活習慣の見直しが大切です。特に野菜をしっかり摂ること適度な運動を続けることが重要とされています。

野菜には豊富な食物繊維が含まれており、腸内の発がん物質を含む不要物を排出しやすくします。食物繊維を十分に摂ることで便通が整い、発がん物質が腸内に長くとどまるのを防ぐことができます。(厚生労働省は1日あたり350g以上の野菜摂取を推奨)

また、体を動かすことも大切です。有酸素運動(軽く汗がにじむ程度のウォーキングなど)によって腸の動きが活発になり、便通が促進されます。これもまた、発がん物質を腸内に滞らせずに排出する助けとなります。

このように、“野菜を食べること”と“体を動かすこと”はどちらも腸内環境を整え、大腸がんのリスクを下げるうえで欠かせないものなのです。
年齢階級別罹患率 大腸(2021年)
出典: 厚生労働省「全国がん登録 罹患数・率 報告 2021
また、罹患リスクは40歳ごろから徐々に上昇し、50歳ごろにはさらに高くなることがわかっています。そのため、40歳からは大腸がん検診の受診が推奨されています。肝臓や肺などに転移した状態で発見されると根治は難しくなりますが、早期発見・早期治療できれば治る病気ですので、積極的に検診を受けるようにしてください。

まとめ

精密検査未受診者の大腸がん死亡のリスク比
精密検査の受診状況 リスク比
全がん
(対象者830人)
受診者 1.00
未受診者 4.80
浸潤がん
(対象者300人)
受診者 1.00
未受診者 4.07
出典: 松田一夫ほか. 精検の精度管理 精検未受診群の癌. 厚生省がん研究助成金「大腸がん検診の合理的な検診方法に関する臨床疫学的研究」平成13年度報告書2001;30-33.
大腸がんは、早期に見つけて適切に治療すれば、治る可能性が高いがんです。そのため、「症状が出てから」ではなく、「症状が出る前」に検診を受けることが何より大切です。検診で異常を指摘されたら、恐れずにきちんと精密検査を受けることをおすすめいたします。

出典
※1) 国立研究開発法人 国立がん研究センター中央病院 消化管内科, 朴 成和: 国がん中央病院 がん攻略シリーズ 最先端治療 大腸がん,13, 法研, 2018.
※2) 厚生労働省「2023年人口動態統計(確定数)
※3) 大腸癌研究会・全国登録 2008〜2013年症例

コラム監修

一宮西病院
消化器内科部長 / 消化器内視鏡センター長
東 玲治

1999年、名古屋市立大学卒業。岡山大学病院、福山市民病院、鳥取市立病院、亀田総合病院附属幕張クリニック、広島市立市民病院を経て、2019年より一宮西病院。

⇒プロフィールの詳細はこちら

※本ページに掲載されている情報は、2025年10月時点のものです。

関連リンク