グローバルナビゲーションへ

本文へ

ローカルナビゲーションへ

フッターへ


遺伝診療科


このページをシェア
HBOC(遺伝性乳がん卵巣がん)の情報を正しく理解することで、
がんの早期発見や予防といった健康管理に活かすことができる可能性が高まります。

遺伝性乳がん卵巣がんは、遺伝的に特定のがんを発症しやすい体質を示す疾病の一つで、HBOC(Hereditary Breast and Ovarian Cancer)と呼称されます。乳がんの患者さんのうち約4~5%、卵巣がんの患者さんのうち約15%はHBOCであると報告されており、乳がん・卵巣がんの他にも、前立腺がん、膵臓がんなどの特定の臓器にがんが発症しやすくなります。
HBOCと診断された方が、必ずがんを発症するわけではありませんが、HBOCの情報を正しく理解することで、がんの早期発見や予防といった健康管理に活かすことができる可能性が高まるため、2024年4月より専門外来として遺伝外来(遺伝性腫瘍外来)が設立されました。日本人類遺伝学会認定 臨床遺伝専門医、日本婦人科腫瘍学会認定 婦人科腫瘍専門医などの資格を有した医師(坪内 寛文)が担当します。

HBOCと診断された場合、ご自身の父、母、きょうだい、子どもは男女関係なく1/2の確率でHBOCの可能性があります。がんを発症していない方でも、遺伝学的検査(採血)を実施し、その情報を今後の健康管理に活かすことができる可能性があります。

A棟2階

診療日時 第1,3,5週の木曜日 11:00-
※予約制
※男性の方も受診、付き添いが可能です

HBOC外来の対象

HBOCの外来の対象者は、乳がんや卵巣がんなどを発症したことのある方が主となりますが、ご家族(血縁者)にHBOCと診断された方がいらっしゃる方や、乳がんや卵巣がんの遺伝が心配な方も対象となります。
プライバシーには十分配慮しておりますため、安心して受診してください。

HBOC外来を保険診療で受診する場合

他の診察費に加えて、3割負担の場合3,000円となります(2022年4月現在)。

  • ご本人に乳がんもしくは卵巣がんの既往歴があり、当院で遺伝学的検査(BRACAnalysis®)を受検した場合、ご本人は保険で遺伝カウンセリングを受けることができます。
  • 当院の連携施設から御紹介の患者さまは、連携施設で遺伝学的検査(BRACAnalysis®)を受検した場合、保険で当院の遺伝カウンセリングを受けることができます(連携施設で既に遺伝カウンセリング費用をお支払い済の場合は、遺伝カウンセリング費用に関しては当院ではお支払いは不要です)。
  • 月をまたがずに2回目のカウンセリングを受ける場合は、自費診療となります。
  • ご自身が保険の要件を満たすかどうか迷う場合は、レディース外来スタッフへお問い合わせください。

遺伝学的検査(BRACAnalysis®)の保険適用の条件

以下のどれか一つでも当てはまれば保険適用とされます(2024年4月時点)
  • 分子標的薬オラパリブ(リムパーザ)の適応を判断する場合
  • 45歳以下で乳がんと診断された
  • 60歳以下でトリプルネガティブの乳がんと診断された
  • 両側の乳がんと診断された
  • 片側の乳房に複数の原発性乳がんと診断された
  • 男性で乳がんと診断された
  • 卵巣がん・卵管がん・腹膜がんと診断された
  • 自身が乳がんと診断され、第三度近親者内に乳がんまたは卵巣がん、膵臓がんの発症した血縁者が1名以上いる


HBOC外来を自費診療で受診する場合

乳がんや卵巣がんの既往歴がない場合、患者さまのご家族(血縁者)の受診の場合など、上記の保険診療の遺伝カウンセリング条件を満たさない方は、自費で遺伝カウンセリングを受けることができます。遺伝カウンセリングにて遺伝学的検査(採血)を受けることが妥当と判断され、検査のご希望がある場合には、自費で遺伝学的検査(採血)を受けることもできます。
自費の遺伝カウンセリングは、初回は11,000円/30分まで(※以降30分毎に5,500円追加)、2回目以降は5,500円/30分まで(※以降30分毎に5,500円追加)の費用がかかります。

※2024年4月現在 ※表示価格は全て税込です。

遺伝カウンセリング料金表

カウンセリング時間
~30分 ~60分 ~90分
初回 11,000円 16,500円 22,000円
2回目以降 5,500円 11,000円 16,500円
※表示価格は全て税込です。

遺伝学的検査の費用

遺伝学的検査の費用は検査の種類によって異なります。遺伝カウンセリング担当者へお問い合わせください。
検査名 費用 メーカー名
①遺伝性乳がん卵巣がん症候群(HBOC)遺伝学的検査(BRACAnalysis®) 207,500円 Myriad社
②遺伝性乳がん卵巣がん症候群(HBOC)遺伝学的検査 170,500円 FALCO社
③BRCA1/2遺伝子 MLPA法 38,500円 FALCO社
②と③を同時に実施する場合 203,500円 FALCO社
シングルサイト検査(1サイト) 38,500円 FALCO社
※表示価格は全て税込です。
※上記は遺伝学的検査(採血検査)のみの金額となりますので、別途料金が必要になります。

リンチ症候群外来

リンチ症候群は大腸・子宮・卵巣などにがんができやすくなる遺伝性腫瘍のひとつで、その頻度は日本人全体では600人に1人、大腸がん患者100人に1人程度と考えられています。リンチ症候群と診断された場合、適切な検診を行うことでがんの早期発見につなげることができます。また、親子・きょうだいでは1/2の確率で遺伝しますが、まだがんにかかっていない方がリンチ症候群と診断された場合も、検診による早期発見が期待されます。

リンチ症候群外来の対象

「ミスマッチ修復異常」は一部のがんで見られる特性です。この特性を持つがんは、免疫チェックポイント阻害剤が有効である可能性が高いことが知られています。また、大腸がんではミスマッチ修復異常がある場合、ステージII・IIIの患者さまでは再発のリスクが低いことなどが示されています。ミスマッチ修復異常の頻度はがんの種類によって異なり、例えば大腸がんでは6〜7%、子宮体がん(子宮内膜がん)では20〜30%程度です。

マイクロサテライト不安定性(MSI)検査・ミスマッチ修復タンパク質の免疫染色検査は、どちらもがんのミスマッチ修復異常の有無を調べるための検査で、その結果によりがんの性質を考慮した治療をおこなうことを目的としています。がんの治療は最新の診療ガイドラインなどを基に行われますが、この検査結果は患者さまの治療選択の際に参考の一助になります。

ミスマッチ修復異常のあるがんの一部は、リンチ症候群に伴う遺伝性のがんであることが知られています。したがって、MSI検査陽性(MSI-high)、もしくはミスマッチ修復異常陽性のがんと判定された場合、リンチ症候群の可能性を考える必要があります。場合によってBRAFV600Eバリアント検査を実施します。これらの検査結果、もしくは家族歴などから、リンチ症候群の可能性が考えられる場合は、この症候群や診断に必要な検査などについて、遺伝性大腸癌ガイドラインに準拠した対応を詳しく説明をさせていただきます。なお、2024年4月現在、リンチ症候群に関連する遺伝学的検査は保険適応として認められておらず、原則自費診療となります。既に良性疾患等で産婦人科消化器内科に受診中の場合は、検査内容によっては保険診療として対応できることもありますので、詳しくは外来担当者にお問合せください。

遺伝学的検査の費用

検査名 費用
リンチ症候群 MMR遺伝子検査 126,500円
MMR遺伝子検査(MSH6フルシークエンシング検査) 71,500円
MMR遺伝子検査(PMS2フルシークエンシング検査) 71,500円
MMR遺伝子検査(MLH1フルシークエンシング検査) 71,500円
MMR遺伝子検査(MSH2フルシークエンシング検査) 71,500円
MMR遺伝子検査 MLPA法検査 55,000円
MLH1/MSH2遺伝子 MLPA法検査 38,500円
MLH1/MSH2遺伝子 MLPA法検査
※フルシークエンシング検査の追加依頼の場合
27,500円
MSH6/PMS2遺伝子 MLPA法検査 38,500円
MSH6/PMS2遺伝子 MLPA法検査
※フルシークエンシング検査の追加依頼の場合
27,500円
※表示価格は全て税込です。
※複数の検査を同時に実施する場合、金額が変更になることがあります。
※上記は遺伝学的検査(採血検査)のみの金額となりますので、別途料金が必要になります。

褐色細胞腫・パラガングリオーマ

イメージ

褐色細胞腫は副腎の髄質から発生し、交感神経(自律神経の一種)の働きを調節するホルモンである「カテコールアミン(アドレナリンとノルアドレナリン)」を過剰に産生する腫瘍です。副腎以外の場所(頭蓋底・頸部・膀胱などの傍神経節)から発生する場合があり、その場合はパラガングリオーマと呼ばれます。この病気は、発作的な高血圧や薬を内服しても血圧の下がりが悪い高血圧をきっかけに発見されることが多いのですが、最近は人間ドックや他の病気を調べている過程で腫瘍が偶然発見されるケースも増えています。

褐色細胞腫・パラガングリオーマ遺伝子検査の対象者

褐色細胞腫の患者さんの約30~40%の方は遺伝子の変異が原因で腫瘍が発生すると報告されています。血縁者に褐色細胞腫ができやすく明らかに遺伝する場合(家族性腫瘍)と、遺伝子変異があっても家族性ではない場合があります。SDHB・SDHD・VHL・RET・NF1と呼ばれる遺伝子をはじめとし、現在では10種類以上の褐色細胞腫と関係した遺伝子の変化が明らかになっています。遺伝子の変化がみつかることで、フォローアップの方針検討や血縁者の発症リスク特定に役立つことがあります。多発性内分泌腫瘍II型・Von Hippel Lindau病(フォン・ヒッペルリンドウ病)、神経線維腫症I型などの遺伝性疾患と診断された場合は、褐色細胞腫以外の腫瘍を合併する可能性が高いため、定期的に全身の検索が必要です。遺伝性の疑いがある場合は、ご家族や血縁者への遺伝の可能性など、考慮する点が増えるため、遺伝子検査とあわせて遺伝カウンセリングを受けることを推奨しています。

遺伝学的検査の費用

検査名 費用
褐色細胞腫・パラガングリオーマ遺伝子検査 55,000円
※表示価格は全て税込です。
※複数の検査を同時に実施する場合、金額が変更になることがあります。
※上記は遺伝学的検査(採血検査)のみの金額となりますので、別途料金が必要になります。

ご予約案内

遺伝性腫瘍外来(HBOC外来 / リンチ症候群外来)

診察担当医

一宮西病院
産婦人科副部長
坪内 寛文

<主な資格>日本人類遺伝学会認定 臨床遺伝専門医、日本婦人科腫瘍学会認定 婦人科腫瘍専門医、日本産科婦人科学会認定 産婦人科専門医など取得

⇒プロフィールの詳細はこちら
⇒産婦人科の活動実績はこちら

お問合せ・ご予約

Tel. 0586-48-0077(代表)
[受付時間] 月~金 9:00-17:00 / 土曜日 9:00-12:00