脊椎・側彎センター
治療の流れ
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診察
まず診察を通した情報収集と、その症状の原因を患者さんと一緒に考えます。
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検査
各病態に適した治療法をおこなうため、必要な検査をおこないます。
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保存療法
緊急性のある病態を除いて、まず保存的な治療を第一選択とします。必要であればギプス治療、装具治療、物理療法、理学療法などをおこないます。薬物療法も含まれますが、これは原因治療とは言えないことがほとんどであり、安易に痛み止めを処方することはしていません。
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入院精査
外来での治療で症状が軽快しない場合、適応があれば入院精査をお勧めします。
4 -
手術の提案
その結果、手術のメリットがそのデメリットよりも大きいと判断できた場合、手術をお勧めします。
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手術の決定
手術については、その治療方法に選択肢がある場合、患者さん本人やご家族の皆さまのご意見もお聞きして、最終決定します。
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スタッフ紹介
脊椎・側彎センター長
川上 紀明
Noriaki Kawakami
脊柱変形治療が私のライフワークです。その中でも、特に小児の脊柱変形は、難治性な病態が少なくなく、症例ごとの差が大きいのが特徴です。少しでも子供達の将来を明るくできるように諦めないで限界にも挑戦し、患者さんの人生を背負っているという気持ちで治療に取り組んでいます。
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脊椎・側彎センター副センター長
齊藤 敏樹
Toshiki Saito
せぼねから来る症状(ゆがみ、痛み、下肢に放散する痛みやしびれ)でお悩みの方は、お気軽にご相談ください。
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大里 倫之
Tomoyuki Osato
誠心誠意頑張ります。
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脊椎・側彎センター医員
宮下 直人
Naoto Miyashita
今自分にできることを、精一杯頑張ります。
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理学療法士の育成研修・BSPTSコースを開催
質の高い理学療法を取り入れることで変形した姿勢の矯正を促進し、患者さまに日常生活での矯正状態を維持するために体幹安定性を獲得することを指導して、弯曲の進行を最小限に抑え、生活の質を高めることを目指します。
背骨の曲がりと姿勢
姿勢が悪いのは病気ですか?
ここでは、何故多くの人たちが「姿勢」と「背骨の曲がり」を関連付けたがるのかを考えてみたいと思います。
背骨はどのように変形しますか?
側彎症とはどのような病態ですか?
- 生まれた時にすでに存在し、背骨の構造を形作っている「椎骨」と呼ばれる骨の形に異常があるもの(先天性)
- 成長期に、成長が原因で発生するもの
- 成壮年期になり、徐々にすり減りにより発生するもの(変性性)
- 老年期の高齢者に発生しやすい「圧迫骨折」や「骨粗鬆症」など、椎骨の形が二次的に変化して発生するもの
これらの時期で生じる側彎は、それぞれ原因が異なります。姿勢や身体の使い方で生じる側彎は成長期以後に生じるもので、上記の②③④に含まれます。
何故姿勢が影響すると言われるのでしょうか?
たとえば酪農や農業など、長い年月の間前屈みで仕事をしてきた人たちには、背骨が丸い人が多く認められています。これは前屈みで長く仕事をおこなうことによって引き起こされる背筋の疲労性現象の結果であり、背筋が筋萎縮をきたし、脊椎骨や椎間板のすり減りによって徐々に生じる「脊柱後彎変形」と考えられています。このように、長時間にわたって前屈みの姿勢をとることはけっして背骨に良いとはいえませんが、仕事となるとわかっていてもなかなか予防ができません。
それでは一般的にはどうでしょうか? 殆どの人は長時間前屈みでいると途中で背中が張ってきて、自然に伸びをしたくなります。実際には職業的に何年もさらされない限り、側彎や後彎が固まってしまい見てわかるほどの酷さになることは、それほど多くはありません。しかしこのタイプの背骨の曲がりは、確かに最終的には姿勢の悪さや使い方が原因といえます。このような事例があることが、背骨の曲がりが姿勢の悪さから生じると多くの人が信じてしまっている理由です。
成長期の背骨の曲がり
背骨の変形を引き起こす疾患で最も多いのは、「特発性側彎症」と言われる思春期の女児に多い疾患です。これは背骨が捻れながら曲がってしまう病気で、不良姿勢で生じることはありません。
成長期に生じる疾患で間違われる病態に、「後彎変形」があります。お母さんたちが“猫背が気になる”と訴え来院する病態です。これには2つの状態が含まれており、身体の柔軟性が特に強いお子さんでは、他の人たちよりも強く前屈み姿勢をとれます。一見病的に見えますが、体幹筋が弱いことと、身体の柔らかさから可能となる姿勢的異常であり、「猫背」と呼ぶことができます。しかし、これらの子供たちは仰向けになる、反りかえるなどで容易にこの姿勢を正すことができます。その一方で、後彎が固く、矯正で姿勢を正すことができない「後彎変形」が小児に生じることがあります。これは「ショイエルマン病」と呼ばれる疾患で椎骨の成長障害であり、椎間板も変形してきます。猫背とは全く異なる病態であり、姿勢が悪いから生じる病態ではありません。その本態は成長障害であり、専門医による治療が必要です。
姿勢を正すことは大切ですか?
しかし、子供に対して“姿勢が悪い、姿勢が悪い”とストレスを与えることが、もしかすると“心の歪み”を引き起こす引き金となり得ることも忘れてはいけません。近年の社会情勢を考えると、子供を取り巻く環境は、その精神を過度のストレス状態に陥らせていると言っても過言ではありません。自分の子供時代を振り返り、自分が親からどのように言われたか、もう一度思い出しながら姿勢について考えてみてください。
重い物を持つことは成長期の背骨に悪い影響をあたえますか?
しかし、成長期の子供たちが常時10kg以上の荷物を持って通学することが、本当に子供たちの健康上に問題ないのかという質問には「影響ありません」とは決して言えません。反復した機械的刺激が成長軟骨や骨の成長に影響を与えることは、古くから報告されています。ただ、学問的にどの程度影響を与えるのかという質問に答えられる研究結果は、残念ながらありません。個人差が大きく環境も異なるため、その証明がなかなかできないのがその理由の一つです。小児の背骨を専門に診察してきた医師として、可能な限り荷物の重量を減らす努力をしていただきたく思います。